2008 Fiscal Year Annual Research Report
M細胞特異的遺伝子改変マウスの作製および解析による粘膜抗原取り込み機構の解明
Project/Area Number |
06J11256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 義幸 The University of Tokyo, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MARCKS-like protein / villin / M細胞 / 絨毛M細胞 / MyD88 |
Research Abstract |
最終年度における研究実績を報告する。本年度にMARCKS-like proteinコンディショナルノックアウトマウスを作製するためのMARCKS-like protein遺伝子をloxP配列で挟んだターゲティングベクターの作製が完了し、さらにターゲティングベクターをES細胞にトランスフェクションする事で遺伝子欠損マウス作製用のES細胞の確立を中心に研究を進めてきた。しかし、現在までのところ原因は明かではないがES細胞への遺伝子の相同組み換えが成功せず、引き続きサザンブロットにて相同組み換えES細胞の確立に全力を尽くしたいと考えている。さらに、上皮細胞特異的にMAECKS-like protein遺伝子を欠損させるための、villin-Creトランスジェニックマウスの準備も終了し、loxP-MAKCKS-like protein-loxPターゲティングベクターを組み込んだマウス作製後、villin-Creトランスジェニックマウスとかけ合わせ、M細胞特異的にMARCKS-like proteinが欠損したマウスの解析へと進みたいと考えている。 一方、MARCKS-like proteinはM細胞からの抗原取り込みに関与する可能性が考えられる事から、腸内に生息する共生細菌の取り込みにも関与する可能性がある。さらに、共生細菌はM細胞の分化を誘導するとの報告がある事から、MARCKS-like proteinが共生細菌依存性のM細胞の分化への関与が考えられた。本年度は、細菌誘導性絨毛M細胞の誘導に関与する宿主の細胞、分子機構の解明を試み、宿主細菌認識受容体であるToll-like receptor及びその下流に存在する重要なシグナル伝達分子であるMyD88が絨毛M細胞の誘導に必須である事を同定した。さらに、この反応には粘膜固有層CD11c陽性細胞におけるMyD88が重要である事も明らかとした。これらの結果は、粘膜面、特に絨毛における抗原の取り込みシステムの誘導・制御に粘膜固有層CDllc陽性細胞が関与している可能性を示しており、粘膜免疫細胞の新たな役割を示唆する重要な知見と言える。
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Research Products
(5 results)