2007 Fiscal Year Annual Research Report
M細胞特異的遺伝子改変マウスの作製および解析による粘膜抗原取り込み機構の解明
Project/Area Number |
06J11256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 義幸 The University of Tokyo, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小腸絨毛部 / M細胞 / 遺伝子改変マウス / 抗原取り込み / MARCKS-like Protein / UEA-1 / 共生細菌 / NKM16-2-4 |
Research Abstract |
私は現在「M細胞特異的遺伝子改変マウスの作製および解析による粘膜抗原取り込み機構の解明」という研究課題のもとに研究を推進している。本年度は、初年度に引き続きMARCKS-like proteinコンディショナルノックアウトマウスを作製するためのターゲティングベクター作製を中心に仕事を進め、予定通り作製が完了した。現在はES細胞へのトランスフェクションを試みるとともに、PCR法並びにサザンプロッティング法による確認作業を行いながら実験を進めている状況である。一方、MARCKS-like proteinはM細胞からの抗原取り込みに関与する可能性が考えられる事から、腸内に生息する共生細菌の取り込みを司る遺伝子であると予想される。共生細菌はM細胞の分化も誘導する事から、上記の実験を進めるとともにバイエル板M細胞および絨毛M細胞の分化と共生細菌との関係についての実験も並行して進めている。まず、Mおよび絨毛M細胞を認識するレクチンUEA-1、モノクローナル抗体NKM16-2-4を用いてバイエル板M細胞、および絨毛M細胞の小腸内での分布をSPFマウスで精査したところ、UEA-1およびNKM16-2-4陽性細胞(UEA-1+NKM16-2-4+細胞)が回腸側で極めて多く観察される事が明らかとなった。また、共生細菌が存在しない無菌マウスではUEA-1+NKM16-2-4+細胞が消失した。これらの結果は、共生細菌がバイエル板上のM細胞の分化に寄与するとともに、絨毛部分における抗原の取り込み口である絨毛M細胞の分化をも誘導する事を示している。以上め結果をまとめると、共生細菌はバイエル板上においてM細胞を誘導するとともに、絨毛における抗原の取り込み口である絨毛M細胞の分化誘導を行い、免疫誘導および実効組織ともに宿主粘膜免疫の発達に寄与していると言える。上記のように、M細胞におけるMARCKS-like proteinコンディショナルノックアウトマウスの作製と、共生細菌によるM細胞および絨毛M細胞の誘導機構の解明を進める事で、本年度は相乗効果により期待が持てる研究進行状況であると考えている。
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Research Products
(1 results)