2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
魚返 拓利 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 造血幹細胞 / WAVE2 / Abi-1 / ホーミング / Rac1 |
Research Abstract |
我々はWASP familyのうち、WAVE2とそれと複合体を形成するAbi-1における造血幹細胞の役割について研究を行っている。WAVE2・Abi-1欠損マウスはいずれも胎生致死のため、成体での解析は不可能である。そこで我々はレンチウイルスによりそれぞれの分子を約80〜90%ノックダウンする系を確立し、造血幹細胞でノックダウンした後にin vitroコロニーアッセイ、移植による骨髄長期再建能力、ホーミング能力を観察した。In vitroコロニーアッセイの結果、mockとWAVE2をノックダウンしたものでは多分化能力をもつマクロファージ、好中球、赤血球、巨核球のミックスコロニーの出現率に変化はなかった。Abi-1でも同様の実験を行ったが、増殖は著しく低下するものの、ミックスコロニーの割合はmockと変化はなかった。次に移植による骨髄長期再建能の検定をおこなった。WAVE2をノックダウンした場合、mockと大きな違いはみられなかったが、Abi-1をノックダウンした場合、全ての個体で顕著な骨髄長期再建能力の低下がみられた。ホーミング能力は骨髄長期再建能と同じく、WAVE2をノックダウンしたものではmockとさほど影響はなかった。しかし、Abi-1をノックダウンすると全く骨髄へのホーミングがみられなかった。 当初、2003年のRac1欠損モデルの報告からWAVE2がその役割の核を担っていると予想されたが、そうではなくWAV2とcomplexを形成するAbi-1にあるようだ。Abi-1は一般的にはWAVE2と主にcomplexを形成するといわれているが、造血幹細胞では、もうひとつのcomplexであるN-WASPと主要な役割がある可能性がある。
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