2006 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系における磁性と強誘電性の結合に関する理論的研究
Project/Area Number |
06J11271
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桂 法称 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | マルチフェロイクス / フラストレーション / らせん磁性 / スピン流 / 量子スピン |
Research Abstract |
近年盛んに研究が行われている、磁性と強誘電性の間に強い結合が見られる系であるマルチフェロイクスにおける理論的研究を行った。Phys.Rev.Lett, Vol.98に掲載された論文では、マルチフェロイクスに特徴的である磁性と強誘電性の間の結合を利用した電場によるスピン波の励起、あるいは磁場による分極波の励起といった交差的かつ動的な応答について理論的に研究を行い、可能な実験系を示唆した。本研究は動的電気磁気効果として、実験グループからも注目を集めている。また、Phys.Rev.Lett, Vol.97に掲載された論文では、らせん磁性体における遍歴電子系の性質を多軌道自由度を考慮した現実的なモデルを用いて詳しく調べた。その結果、エネルギーダイアグラムは量子ホール系のHofstadter Butterflyに似た複雑な様相を示し、それに伴い遍歴電子も局在-非局在それぞれの相が存在することを明らかにした。また本研究の結果から、磁場による局在-非局在の制御および、それによる巨大な応答の可能性などの応用を示唆した。 また、非平衡条件下でのスピン流についての理論的研究を行った。Phys.Rev.B, vol.73に掲載された論文では、メゾスコピック系におけるスピン流とその散逸についてLandau-Lifshitz-Gilbert方程式を量子論から半古典的に導出することによって議論した。非平衡な条件下での量子ドット系でのスピン流についてのより量子論的に厳密な取り扱いについては、J.Phys.Soc.Jpn, vol.76に掲載予定である。また、ギャップのある低次元量子磁性体においてEntanglement Entropyと呼ばれる量と系の端状態の間の関係を詳細に調べ明らかにした。またこの系の量子計算への応用も示唆した。本内容は現在Physical Review誌に投稿中である。
|
Research Products
(4 results)