2006 Fiscal Year Annual Research Report
モット転移系における電荷・軌道ダイナミクスの解明とその応用
Project/Area Number |
06J11275
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤岡 淳 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 軌道秩序 / モット転移 / ペロブスカイト型V酸化物 / 光学伝導度 / ラマン散乱 |
Research Abstract |
ペロブスカイト型V酸化物RVO_3のC型磁気秩序・G型軌道秩序相においては、結晶構造がほぼ等方的であるにもかかわらず大きな異方性を持った電子構造状態が現れる。この磁気・軌道秩序相における動的状態を観測すべくラマン散乱測定を行った。その結果R=La, Ndの系においては偏光配置(z, z)のスペクトルにおいてC型磁気秩序相の転移温度以下で軌道励起two-orbitonが現れる事を明らかにした。また、R=Yでは更に低温にG型磁気秩序・C型軌道秩序相が存在するが、この相では軌道状態に敏感な格子振動モードに異常が見られ、また、磁気励起two-magnonモードが現れる事を見出した。この結果を研究発表(1)-1の論文として発表した。 また、Rサイトの希土類イオンをアルカリ土類イオンで置換する事で系にホールをドープし、バンドフィリング制御型のモット転移を誘起する事が出来る。ここでは典型物質としてLa_<1-x>Sr_xVO_3を選び、遠赤外から紫外領域までの反射スペクトルを測定する事によって母物質で見られる異方的電子構造の変化を観測する事を目指した。その結果、母物質LaVO_3でみられているモットギャップ励起のピーク構造のほかに中赤外領域にドープされたホールの運動に起因すると思われるピーク構造が現れる事を観測した。このピークの温度変化・偏光依存性からドープされたホールは軌道状態の異方性を反映した1次元的な運動状態にあることを見出し、研究発表(1)-2の論文及び学会発表(2)-1,3として発表した。またY_<1-x>Ca_xVO_3においてはモット転移の他に微少ドープによって基底状態がG型磁気秩序・C型軌道秩序相からC型磁気秩序・G型軌道秩序相へ変化する。この相転移の過程における動的な磁気・軌道状態についてラマン散乱を用いて明らかにし、この結果を学会発表(2)-2において報告した。
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Research Products
(2 results)