2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11286
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志村 晴季 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己組織化 / 液晶 / イオン伝導 / 超分子 |
Research Abstract |
自然界において、分子間の非共有結合を介した相互作用は生体組織の形成に重要な役割を果たしている。水素結合、疎水性相互作用、π-π相互作用、イオン-双極子相互作用などの弱い相互作用によって自発的に形成された"超分子"が昨今広く研究されている。超分子の中でも、液晶は生体材料・工業的応用の観点から注目されている。液晶の動的かつ異方的な秩序構造を利用することで、異方的な輸送や分離、触媒作用などの機能を有する材料をつくることができる。なかでも我々は液晶の自己組織化とナノ相分離によって形成される構造をイオン伝導性材料へと応用してきた。オリゴエチレンオキシド鎖を導入した棒状液晶とリチウムイオンの複合化、イオン液体の液晶化によって、異方的なイオン伝導に成功している。しかし伝導度が電池材料などへ実用化できる値よりも低いのが問題であった。 本研究では超分子的なアプローチを用いて、イオン伝導性カラムナー液晶の伝導性向上を目指した。従来のイオン伝導性液晶は、カラムナー構造を形成する非イオン性の絶縁部位と、イオン伝導を担う部位が共有結合で結ばれていた。これらの部位を分割し、非共有結合によって超分子を形成させることによって、より動的にイオンを輸送できる材料を目指した。末端に水酸基を有する液晶性扇状分子を設計・合成した。この分子は室温でヘキサゴナルカラムナー相を示した。イオン液体と等モル混合したところ、これらは均一な複合体を形成し、液晶相の温度範囲が拡大した。扇状分子の水酸基とイオン液体のイミダゾリウム部位との水素結合が確認された。この超分子複合体はせん断応力を印加することによって一方向にカラムを揃えて配向し、カラム方向に3.9×10^<-3>[S/cm]、カラムと垂直な方向にその10分の1程度の異方的なイオン伝導性を示した。伝導度の値は従来のイオン伝導性液晶と比べて700倍に向上し、実用的な値を達成した。
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Research Products
(8 results)