2007 Fiscal Year Annual Research Report
培養神経系モデルを用いた脳神経システムの機能化誘導技術の開発
Project/Area Number |
06J11291
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
硯川 潤 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 光アドレス電極 / 培養神経細胞 / 電気刺激 / カルシウムイメージング / 二酸化チタン / アモルファスシリコン / pH勾配 / バイオチップ |
Research Abstract |
今年度の主な成果は,i)光アドレス刺激と同時カルシウムイメージングを用いて,神経回路の機能構造を探索するための手法を開発したこと,ii)光アドレス電極上での酸化還元反応を利用して,微小なpH勾配を任意の位置に生成することに成功したこと,iii)二酸化チタン焼結膜を用いて,培養液に対して高い耐久性を有する光アドレス電極を新たに開発したことである. 単一細胞層から成る培養神経回路に光アドレス刺激を与え,シナプス阻害下での反応パターンを神経回路への人工的な入力,無阻害時のパターンをシナプス結合が反映された出力として,それぞれ定義した.複数の入出力パターンを比較することで,神経回路の局所的な機能構造を解明できると考える.これまでに,異なる位置への光アドレス刺激で誘発される入力パターン間の差に対して出力パターン間の差が有意に小さいことがわかった.この結果は,局所的な神経回路内に強いシナプス結合で形成されたセルアセンブリのような機能的クラスタが存在することを示唆している. 神経回路の自己組織的な機能化を誘導するためには,電気的な刺激だけでなく,化学的な刺激を与えることも有用である.今年度は,光アドレス電極上での酸化還元反応に着目し,水の電気分解を用いて微小空間のpH勾配を制御することを試みた,光照射パターンの切り替えに同期させて陽極性・陰極性の電圧をそれぞれ印加することで,およそ120μmの領域にpH差1の勾配を生成できた.また,アモルファスシリコンと比較して培養液への耐久性が高い二酸化チタン焼結膜を用いて光アドレス電極を試作し,紫外線照射部へ選択的に電気刺激を与えられることを確認できた.二酸化チタンは比表面積が大きく,表面への化学修飾が容易なため,電気的・化学的に神経回路の機能化を誘発するために有用であると考える.
|
Research Products
(9 results)