2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体と磁性体からなるナノ構造におけるスピン依存トンネル現象とその応用
Project/Area Number |
06J11297
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
ファム NH The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 半導体スピントロニックス / 閃亜鉛鉱型 / MnAs / 微粒子 / クーロン・プロッケード / スピン起電力 / 巨大磁気抵抗効果 / 磁気トンネル接合 |
Research Abstract |
(1)六方晶MnAs微粒子を強磁性島とする単電子スピントランジスタのスピン依存伝導特性 六方晶MnAs微粒子を強磁性島とする単電子スピントランジスタをナノ加工技術によって作製、伝導特性を調べた。その結果: (1)電流電圧特性において6段のクーロン階段を観測した。これによって半導体グラニュラ構造において初めてクーロン・ブロッケドを観測した。また、段階が等間隔に並ぶことから、トンネル過程が一個のMnAs微粒子を介することを示した。 (2)GaAs/MnAsの障壁が低いため、通常の単電子トランジスタよりも電流駆動力が優れている。具体的には5段目の電流駆動力が1段目の電流駆動力よりも100倍大きい。(通常の単電子トランジスタではこの比が5である。)GaAs/MnAsの低障壁界面を使うことによって、単電子トランジスタにおける小さい電流駆動力の問題を解決できる手法を示した。 (3)トンネル磁気抵抗(TMR)比のバイアス依存性を調べたところ、TMR比がバイアスに対して振動する現象を観測した。特にクーロン階段めところでTMR比が極大を取る。この現象はスピン蓄積現象で説明できる。 (2)閃亜鉛鉱型MnAs微粒子を含むトンネル磁気接合において、静磁場による起電力の発生および巨大な磁気抵抗効果の観測 (1)素子に1Tの磁場を印加したままで、電流電圧特性を測定したところ、原点が高バイアス側に21mVシフトした現象を観測した。この現象は素子から21mVの起電力が発生することを示した。この結果が静磁場下の起電力発生を予測したBarnes-Maekawa理論を支持する。 (2)素子に負の小さいなバイアスを印加したときに、素子の抵抗が磁場印加によって3桁も変わった巨大な磁気抵抗効果を観測した。この巨大な磁気抵抗効果がクーロン・ブロッケード領域内で観測されている。 (3)素子に正の小さいなバイアスを印加したときに、電流が磁場による起電力によって逆流することを確認した。 (4)クーロン・ブロッケード領域外では35-100%の普通のMRを観測した。 (5)素子に負荷抵抗を繋いで、静磁場で発生した起電力による外部回路の駆動を実証した。また、その起電力の寿命が102秒であることも観測した。 (6)クーロン・ブロッケードと起電力が温度上昇で消失していくために、巨大な磁気抵抗効果も温度上昇で消失した。
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Research Products
(16 results)