2008 Fiscal Year Annual Research Report
微細構造・局所化学組成制御による機能性ホウ化物材料の設計と開発
Project/Area Number |
06J11311
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桂 ゆかり The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属ホウ化物 / 新規超伝導体探索 / チャンネル構造 |
Research Abstract |
本研究では、ホウ素を含む共有結合にキャリアが存在する金属ホウ化物において超伝導体を探索した。特に、新たな化学組成や結晶構造をもつ新規超伝導体の探索に注力した。 まず、金属ホウ化物の化学的な性質を独自に体系化し、金属ホウ化物がホウ素リッチホウ化物と金属リッチホウ化物に分類でき、生成機構が異なることを発見した。さらに、第一原理電子状態計算による化学結合の理解と、電気陰性度を用いた共有結合性の考察により、多様な金属ホウ化物の結晶構造と電子構造を予測することに成功した。 続いて、新規超伝導体の候補として6ホウ化カリウムKB_6の物性を理論および実験から調査した。第一原理計算と電子構造を変化させたKB_6の物性を調査した結果、いずれも60K付近で磁化率の異常をもつ常磁性物質であることを突き止めた。 このほか、Feの四面体チェーン構造をもつ1次元チャンネル構造ホウ化物La_<1+ε>Fe_4B_4の単結晶合成に初めて成功し、この物質が、Feの磁性が消失した常磁性体であることを発見した。大きな不定比La組成の存在にも関わらず、非磁性状態が安定しており、またc軸方向の内在的な電子散乱現象を観測したことから、非磁性状態と磁性の競合した特異な物理が発現している可能性を初めて示した。さらに、本研究で合成に成功した新規ホウ化物Ca_<1+ε>Co_4B_4もLa_<1+ε>Fe_4B_4同様の結晶構造をもち、Coの磁性が消失した常磁性体であることを確かめた。このほか、La_<1+ε>Fe_4B_4に類似した構造をもつが、チャンネル構造がらせん状である新規ホウ化物Ca_<1+ε>Ru_4B_4の合成に成功した。このように一次元チャンネル構造ホウ化物に新たなメンバーを加えたことにより、c軸方向の不整合構造と電子構造の関係を解明することに成功した。ほかにも3種類のにおいて常磁性新規ホウ化物の合成に成功した。
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Research Products
(5 results)