2007 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルによる大脳皮質神経系前駆細胞の運命制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
06J11322
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑原 篤 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Wnt / beta-cateninシグナル / 大脳新皮質発生 / 神経幹細胞 / Myc |
Research Abstract |
大脳皮質神経系前駆細胞は胎生早期ではWnt依存的に殖し、胎生後期ではWnt依存的にニューロン分化する。Wntの標的遺伝子に関しては、ニューロン分化ではNgn1/2がわかっているが、増殖促進効果を媒介する標的遺伝子は来だ明らかになっていなかった。本研究ではまずWntが胎生早期神経系前駆細胞を増殖させる際の標的遺伝子を明らかにすることを目的とした。 本研究費を申請した時点で、Wntが早期神経系前駆細胞を増殖させる系を構築し、このときN-Mycの転写最が上昇すること、大脳皮質背側でWntシグナルの活性化とN-MycのmRNAが共局在することを明らかにしていた。平成18年度は、Wnt依存的な増殖におけるN-Mycの重要性をvitroおよびvivoで検討した。その成果として、初代培養系の神経系前駆細胞にN-Mycを過剰発現すると、Wntが神経系前駆細胞に与える効果と同様の効果が得られること、およびWnt依存的な神経系前駆細胞の増殖にN-Mycが必要であることを示した。これらの結果から、Wntシグナルによる増殖促進効果を媒介する標的遺伝子として、N-Mycが重要であることを明らかにした。 平成19年度にこの研究成果を学会で報告し、さらに研究を発展させる上で重要な指摘を受けた。そこで、国内外の研究者から数種類の遺伝子改変マウスを分与頂き、Wnt-N-Myc経路の役割をin vivoで解析し重要な知見を得た。この結果をあわせて現在論文投稿準備中である。 また、本年度も平成19年度に引き続き、Wntシグナルが大脳皮質神経系前駆細胞に与える効果が発生時期依存的に変化するメカニズムを検討している。特に本研究で見い出したWntシグナルの標的遺伝子であるN-Mycの転写制御に注目し、その発生時期依存性を解析することにした。現在、胎生早期のマウス胎仔の神経系前駆細胞を解析する系を構築している。
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Research Products
(3 results)