2008 Fiscal Year Annual Research Report
政治体としてのイギリス海軍:イギリス海軍の太平洋・極東防衛政策1880〜1914
Project/Area Number |
06J11346
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢吹 啓 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イギリス史 / 海軍史 / 軍事史 / 外交史 / 日英関係 / 日英同盟 |
Research Abstract |
昨年来研究指導委託制度を利用してキングス・カレッジ・ロンドンに客員研究員として所属しており、A.ランバート教授の指導をうけながら、イギリス国内で史料調査を行った。今年度前半には、特にオックスフォード大学のボドリアン図書館が所蔵する、20世紀初頭の海軍大臣セルボン卿の私文書を中心に史料収集を行った。今後、昨年度収集した中国艦隊司令長官の手稿史料とあわせて分析することで極東におけるイギリス海軍のあり方、海軍政策が形作られる過程が明らかになると思われる。他方で、海軍士官の私文書を多数抱えるNational Maritime Museumの文書館が移動に伴って長期閉館することがアナウンスされたため、計画を変更して史料収集を進めた。なお、キングス・カレッジ・ロンドンの博士課程に進学するため、年度途中に日本学術振興会特別研究員を途中辞退することになった。 研究成果としては、これまでの研究動向整理をまとめ、昨年度ほぼ完成させていた研究動向論文を学会誌『歴史学研究』に投稿し、「20世紀初頭の英国海軍史における修正主義:フィッシャー期、1904〜1919」というタイトルで掲載された。本稿では「政治体としての海軍」にも言及している。なお、アルゼンチン巡洋艦転売交渉、および日本への回航の分析を通じて日露戦争当時の日英関係の実態とイギリス政府・海軍の極東政策を再考する論文については、イギリスの日英関係史家や海軍史家、外交史家らのコメント・アドバイスに基づいて修正した上で、軍事史を扱う英語雑誌War in Historyに投稿し、受理された。2009年中の掲載が予定されている。 その他、アレッシオ・パタラーノ「「海軍」から「海自」へ:戦後日本のシーパワー」(『軍事史学』第44巻、第4号(2009年)掲載予定)を翻訳し、20世紀初頭のイギリス海軍戦略を考察する上で欠かせないJ.S.コーベットの『海洋戦略の諸原則』翻訳(戦略研究学会編/高橋弘道編著『戦略論体系(8)コーベット』)の新刊紹介を執筆した。
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Research Products
(1 results)