2007 Fiscal Year Annual Research Report
政治体としてのイギリス海軍: イギリス海軍の太平洋・極東防衛政策1880〜1914
Project/Area Number |
06J11346
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢吹 啓 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イギリス史 / 海軍史 / 軍事史 / 外交史 / 日英関係 / 日英同盟 / 帝国防衛 / 極東・太平洋 |
Research Abstract |
今年度は、まず昨年来の吏料調査の成果をまとめ、政治経済学・経済史学会 兵器産業・武器移転フォーラムにおいて口頭発表した。日露戦争直前のアルゼンチン巡洋艦転売交渉を日英両国における史料から再構成する研究であり、日露戦争前後の日英関係の実態を再考する上で重要な論考である。10月以来ロンドン大学キングス・カレッジに客員研究員として所属し、British Library、National Archives等でのさらなる史料調査を踏まえ英語論文としてまとめた。研究動向論文に関しても渡英以後の分析を加え、ほぼ完成させた。いずれも、現在最終的な投稿準備中である。 また、研究指導委託制度を利用し、ロンドン大学キングス・カレッジのA.ランバート教授の指導をうけながら、ロンドン各地での史料調査を行った。近年の外交史・海軍史研究の展開を受けて、イギリス海軍の帝国規模の戦略に関心が集まりつつあるが、中国艦隊の活動実態等はほとんど研究されていないのが現状である。今年度は、これまでの海軍省やフィッシャー第一海軍卿の戦略に焦点を当てた史料調査から、National Maritime Museum に所蔵される手稿史料整理を通じた中国艦隊司令長官の政治的コネクションの分析に焦点を移すと共に、British Library等に所蔵される首相、防衛問題に発言権を持つ政治家らの手稿史料整理を行った。 その他、今年度中に刊行された成果としては、『ロイヤル・ネイヴィーとパクス・ブリタニカ』の書評が『西洋史学』226号に掲載された。また、デイヴィッド・デイ教授の非常に視野の広い論文、「占奪する社会:世界史を理解する新しい方法」を翻訳し、『クリオ』21号に掲載された。
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Research Products
(2 results)