2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11355
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 春樹 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 嗅覚 / 神経科学 / 回路形成 / 軸策投射 |
Research Abstract |
哺乳類の嗅覚系では、個々の嗅神経細胞は約1000種類存在する嗅覚受容体遺伝子からたった一種類のみをランダムに選択し、相互排他的に発現する(1神経-1受容体ルール)。また同一の嗅覚受容体を発現している嗅神経細胞は、嗅上皮上において散在しているものの、その軸索は嗅球の特定の一箇所(糸球)に収斂する(1受容体-1糸球ルール)。この二つのルールに基づき、匂い分子が嗅覚受容体と結合することによって得られる情報は、嗅球上において「どこの糸球が発火したか」という二次元上の位置情報(odor map)へと変換され処理されると考えられている。これまでの研究から、前者の相互排他的発現のメカニズムに関しては、大筋は明らかとされてきたが、後者の軸策の収斂メカニズムにおいては、発現する嗅覚受容体自身が何らかの形で関わっているということ以外、何一つ明らかとなっていなかった。 そこで我々は、後者の嗅覚受容体依存的な軸策投射の分子メカニズムに着目して研究を行い、神経活動を介して発現する嗅覚受容体の種類を反映した形で様々な細胞接着分子が固有の発現量で誘導されることを見出した。また、嗅神経細胞特異的なモザイク解析法を開発し、それらの細胞接着分子が軸策投射の最終段階における軸策の選り分け"sorting"に関わっているということを示し、これらの結果を論文誌「Cell」に報告した。 現在は、嗅神経細胞の軸策を嗅球の大まかな位置へと誘導する「global targeting」の分子メカニズムに注目して研究を行っている。
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Research Products
(1 results)