2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11355
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 春樹 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 嗅覚 / 神経科学 / 神経回路 / 軸策投射 |
Research Abstract |
我々生物の脳が、いかに外界の情報(光、音、匂い、味、体性感覚等)を検知しそれを処理しているのかという神経科学における大きな課題に対して、我々はマウスの嗅覚系をモデルシステムとして研究を行っている。マウスのゲノムには、匂い受容を担う嗅覚受容体(odorant receptor:OR)遺伝子は約1000種類存在し、個々の嗅細胞は多数あるOR遺伝子からたった一種類のみを相互排他的に発現する(1神経-1受容体ルール)。また同一のORを発現している嗅細胞は、その細胞体は嗅上皮上において散在しているもののその軸索は嗅球の特定の箇所に糸球構造を形成して投射する(1受容体-1糸球ルール)。これらの知見から、匂い情報は嗅球上において"発火する糸球のパターン"という二次元上の位置情報(odor map)へと変換されると考えられている。 この匂い認識を支えるodor mapの形成メカニズムには、発現するORによって指令的に行われる軸策投射の機構と、直接的には発現するORに依存しない二つの機構が存在することが明らかとなっている。前者のOR依存的な投射に関しては、昨年度"Cell"誌及び"Science"誌に当研究室の研究結果を報告した。現在、後者のOR非依存的な軸策投射のメカニズムに関しての研究を行っており、これまでにNeuropilin、Plexin、Semaphorinという軸策ガイダンス分子が軸策間の反発性相互作用を引き起こすことで、軸策の投射位置の決定に関わるということを突き止めている。これらの研究結果は、現在投稿準備中である。
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Research Products
(3 results)