2006 Fiscal Year Annual Research Report
窒化ニオブチタン配線層と窒化アルミニウム障壁を用いたサブミリ波SIS素子の開発
Project/Area Number |
06J11365
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 光 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | テラヘルツ波 / サブミリ波 / SISミクサ / 窒化アルミニウム / 超伝導デバイス / デバイスプロセス / 高周波プラズマ / SIS接合 |
Research Abstract |
本年度は、窒化アルミニウムバリアSIS接合素子作製プロセスのトンネル抵抗率制御性を高める事に主眼を置いて研究を行った。 窒化アルミニウムバリアの作製には従来、純粋窒素中でのプラズマ窒化法が用いられてきたが、トンネル抵抗率の制御性に難点があった(±1-2桁程度)。そこで私は、窒素ガスを希ガス(アルゴン又はヘリウム)で10%に希釈したプラズマ中で窒化反応を行う新しいプロセスを考案した。この手法には、以下の利点がある。 1.窒素/希ガス混合比を制御する事で、DC電圧と窒素の分圧(∝数密度)を準独立に制御する事が可能となる。これにより、低エネルギーかつ低速な反応を実現できる。 2.次のような、「2段点火」の技術を採用することで、プロセス初期の不安定な反応を排除することができる。 (1)まず、大きな電力を必要とするプラズマの点火を希ガス中で行う。 (2)次に、電力を反応に適した値まで下げ、安定させる。 (3)最後に、窒素を導入して反応を開始する。 このようなプロセスを用いてNb/Al-AlNx/Nb SIS接合素子を作成した結果、接合のトンネル抵抗率を窒化時間の関数として±0.5桁程度の誤差で制御できるようになり、制御性が向上した。また、6桁にわたる様々なトンネル抵抗率をもつSIS接合を作製した結果、トンネル抵抗率と窒化時間の間にべき乗関数則が成立することが明らかになった。 現在までに、トンネル抵抗率15Ωμm^2、常伝導/サブギャップ抵抗比7程度の接合が得られており、今後はサブギャップリーク電流の抑制が課題である。このためには、1)プロセスに用いる電力を小さくする、2)窒素/希ガス混合比をさらに小さくする、という改良が有効であると考えており、高周波入力の減衰器と、ヘリウム希釈窒素ガス(10%、1%)を溝入して実験準備を進めている。
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Research Products
(4 results)