2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11381
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 大介 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 不安定核 / 平均場近似 / テンソル力 / 原子核構造 |
Research Abstract |
本研究では、平均場近似を用いて原子核構造に与えるテンソルカの効果を、核図表の広い範囲に渡って、特に不安定核領域において、系統的に研究することを目的としている。本年度においては、そのテンソルカの効果が顕著に現れるいくつかの現象について考察し、また対相関との競合についても考察した。 最近の実験において、従来のテンソルカを含まない平均場近似では説明できない現象が確認されている。例えば、Sb(アンチモン)アイソトープにおける陽子h11/2軌道と陽子g7/2軌道のエネルギー差の変化である。この変化がテンソルカを含めることで再現が可能なことを示した。また、このテンソルカによる原子核構造の変化に与える影響を踏まえて、Ni(ニッケル)78における魔法数の変化について計算した。この原子核においてテンソルカは陽子の魔法数28を消失させるように影響を与えることが分かった。以上のことは論文の(Phys.Rev.Lett.)に投稿した。 次に行ったことは、テンソルカが原子核の対相関に与える影響についての考察である。テンソルカの影響により原子核構造に変化がおき、それによって間接的に原子核の対相関に影響を与えることが分かった。例えば、Sn(スズ)アイソトープでの対相関エネルギーにこのテンソルカが影響を与えるために、2中性子分離エネルギーに影響が及ぶことを明らかにした。テンソルカを含まない相互作用と比較すると、実験値に近いのはテンソルカを含んだほうである。
|
Research Products
(3 results)