2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11381
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 大介 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不安定核 / 平均場近似 / テンソル力 / 原子核構造 |
Research Abstract |
本研究では、平均場近似を用いて原子核構造に与えるテンソル力の効果を、核図表の広い範囲に渡って、特に不安定核領域において、系統的に研究することを目的としている。本年度においては、そのテンソルカの効果が顕著に現れるいくつかの現象について、特に対相関との競合について考察した。 テンソル力が原子核の対相関に与える影響についての考察であるが、まず従来の平均場モデルにおいてテンソル力と対相関を同時に扱える形に拡張した。テンソル力の効果は強いために、従来のモデルに摂動論的な修正では不十分で、新たにパラメータを大幅に調整した。このパラメータ(以下、GT3)と従来のテンソルカを含まないパラメータ(以下、D1S)の計算結果を比較することで、テンソル力の影響により原子核構造に変化が起こり、それによって間接的に原子核の対相関に影響を与えることが分かった。 例えば、テンソル力がSn(スズ)アイソトープでの対相関エネルギーに影響を与えるために、2中性子分離エネルギーに影響が及ぶことを明らかにした。安定核領域においては、テンソル力の有無に関わらず、D1Sの計算結果とテンソル力を含んだGT3の計算結果も、実験値とほとんど一致しており、両者に大きな違いはなく、本研究での計算結果の信頼性を保障している。しかし、中性子数50-70領域に注目すると、実験結果とD1Sの計算結果は1MeVほどずれているが、本研究でのGT3ではこのずれは見られない。また中性子過剰領域における振る舞いも両者に大きな違いが見られ、テンソル力の効果による一粒子軌道エネルギーの変化の影響が原因であることが分かった。同様にしてKr(クリプトン)アイソトープについてもD1SとGT3の比較計算を行ったが、中性子過剰領域において両者に大きな違いが現れることが分かった。
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Research Products
(5 results)