2007 Fiscal Year Annual Research Report
Astro-E2衛星で解明する銀河団の非熱的現象(宇宙最大の加速器に迫る)
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06J11395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北口 貴雄 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | X線 / 衛星 / 銀河団 / 加速 |
Research Abstract |
私の主な研究内容は、銀河団スケールで起きている加速現象を観測するために、2005年7月に打ち上げられた宇宙X観測衛星「すざく」を用いて、硬X線領域で現れると期待される銀河団からの非熱的放射を検出することである。この信号はとても微弱で、感度ぎりぎりの検出になると予想されるため、「すざく」の性能を極限まで引き出せるよう、製作、運用、較正に全面的に参加してきた。 「すざく」搭載の硬X線検出器(HXD)は、観測データからバックグラウンドをモデル化して差し引き、天体信号を抽出するため、感度を高めるにはモデル精度を上げる必要がある。そこでバッググラウンドの起源を理解するために、モンテカルロシミュレーションを駆使し、様々な宇宙放射線を「すざく」のマスモデルに照射して、HXDの応答を調べた。その結果、バジクグラウンドには大気からの高速中性子の寄与が大きいことがわかった。 このシミュレーション結果から、HXDには中性子にも感度があることがわかる。そこで太陽フレアに伴って放出される中性子を、HXDが検出していないか探したところ、2006年12月5日に起きたフレアに同期して、X線では説明できない信号を見つけた。現在、これが中性子による信号で妥当なのかを精査中である。 HXDの較正と平行して、「すざく」で観測した銀河団のデータ解析も行っており、前年度のCentaurusおよびAbell 1060銀河団に続いて、全天で最も明るいPerceus銀河団からの硬X線信号を有意に検出した。前年度と同様に、この検出信号も従来の熱的制動放射モデルで説明できた。これにより滴翠析した3つのリラックスした銀河団では、熱的放射が硬X線領城まで伸びていることを示し、ここから非熱的放射を今までより厳しい制限で決定して、加速現象は活発には起きていないことを示した。
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Research Products
(8 results)