2007 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー中重不安定核ビームを用いたクーロン励起法
Project/Area Number |
06J11399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 大介 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不安定核 / 励起状態 / 核分光 / 寿命測定 |
Research Abstract |
(a)[中性子過剰核17Cの第一・第二励起状態寿命測定実験] 寿命の実験値、および導出したM1遷移強度に基づき、17Cの核構造に関して国内の理論研究者たちと議論を行った。その結果、17Cにおいては、(1)集団性が強く発現していること、(2)核の弱束縛性を反映し、励起状態にハロー構造が形成されていることが示唆された。こうした集団性とハロー構造の共存現象は、これまでほとんど議論されることがなかった。本実験結果は、弱束縛核の構造を理解する上で、非常に重要なデータである。本研究結果は、論文としてPhysics Letters B誌に投稿され、現在査読審査中である。研究代表者は、第一著者として論文執筆に携わった。 (b)[陽子過剰核12Oの励起状態探索実験] 研究代表者は、仏GANIL研究所において行われた14O(p,t)12O反応実験のデータ解析を、オルセイ原子核物理学研究所、および東京大学において行った。本実験の特徴は、(1)陽子過剰核ビームを用いた二中性子移行反応に対して質量欠損分光法を適用することで、非束縛核を効率よく観測できること、(2)直接反応を用いるため励起状態の同定だけでなくスピン-パリティの情報も得られること、(3)質量欠損分光を高効率、高精度で行うために、反跳トライトンの運動量をMUST2テレスコープ(Siストリップ、Cslの2層構成)を用いて測定したことである。また本実験では、磁気運動量分析装置SPEGを用いて、散舌L核の粒子識別を行った。 本年度は、キャリブレーションとして取得した16O(p,t)14O反応のデータ解析を中心に行った。その結果、本実験システムが陽子非束縛状態を高効率、高分解能で観測できることを確認した。また、SPEGによる粒子識別においても、十分な分解能が得ることができた。研究代表者は、解析の初期結果に関して、日本物理学会年次大会において報告した。
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Research Products
(2 results)