2008 Fiscal Year Annual Research Report
B中間子の稀崩壊におけるCP非対称精密測定による新しい物理の探索
Project/Area Number |
06J11405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中浜 優 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Belle実験 / B中間子 / 中性カレント崩壊 / CP非対称性 / 新しい物理の探索 |
Research Abstract |
一般に、B中間子系の崩壊は標準理論内の崩壊分岐比が小さいので、現段階では発見されてない微小な標準理論を超える新しい物理の寄与の探索に適している。特に、中性カレントループ崩壊b→sg、dg(gはグルーオン)は、標準理論内で非常に抑制されており(0(10^<-5>〜10^<-7>))。、さらに不確定原理により中間状態に非常に重い粒子が現れうるので、超対称性粒子めような標準理論を超えた重い粒子の微小な寄与に非常に敏感である。その重い粒子の結合定数のCP位相が標準理論内のCP位相と異なれば、CP非対称性の測定値が標準理論の予想値と異なると期待される。 昨年度行った中性カレント崩壊b→dgにおけるCP非対称性初測定に引き続き、本年度は、Belle実験で現在までに生成および収集されたB中間子対6.57億個のデータでも統計的に有意である、崩壊分岐比が大きい中性カレント崩壊b→sgのうちgolden modeであるB^0→φKs過程に着目し、CP非対称性精密測定した。同じKsK^+K^-終状態を持つ他の崩壊過程(B^0→f_0Ksや非共鳴状態)間の干渉による不定性が考えられ、従来の手法は不完全だった。 これらの干渉を正しく取り扱うために、新たに運動学的な量(Dalitzプロット)を組み合わせ、各中間状態のCP非対称性、中間状態の各崩壊過程の相対的な大きさ、および干渉を含む18パラメータを最尤関数法で同時に決定した。CP位相の測定結果φ_1=(32.0±8.8(stat.)±1.8(syst.)±0.8(Dalitzモデル))度を得た。これは、3σレベルの高い確度の世界初の結果である。また、測定結果を標準理論の枠組み内の理論的予想値と比較したところ、標準理論と測定の結果は一致を見せており、現在の統計の範囲内で新しい物理の兆候がないと示した。
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Research Products
(1 results)