2006 Fiscal Year Annual Research Report
B中間子の稀崩壊におけるCP非対称性精密測定による新しい物理の探索
Project/Area Number |
06J11405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中浜 優 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Belle実験 / B中間子 / ペンギンダイアグラム / CP非対称性 / 新しい物理の探索 |
Research Abstract |
本研究の目的は、Belle実験で取得された大量のB中間子対を用いて、b→dペンギンダイアグラムで記述される稀崩壊であるB→KsKs崩壊のCP非対称性測定を行い、標準理論を超えた新しい物理を探索することである。 来年度のCP非対称性測定に向けて、今年度は、1.CP非対称性測定に必要不可欠なB中間子の崩壊時間差の誤差伝播関数の改良、および、2.B→KsKs事象抽出の解析方法の確立を行った。 1. Belle実験においてB中間子対を用いてCP非対称性を測定するには、B中間子対の崩壊時間差の誤差伝播関数の理解が必要不可欠である。誤差伝播関数は、崩壊点検出器の分解能およびD(*)の崩壊粒子の影響に由来し、大量のコントロールサンプル(B->D(*)1nu, D(*)pi/rho)用い見積もる。 コントロールサンプルの事象抽出において、モンテカルロシミュレーションを用い背景事象を細かく分類・評価し、今後のデータ増加に対応しうる誤差伝播関数を決定することができた。新たに決定した誤差伝播関数を用いて、B→J/PsiKO崩壊のCP非対称性を測定し、団行列のパラメーターsin2φ1の精密測定(+0.642+-0.031(stat)+-0.017(syst))を行った。また、今後の系統誤差の推移を見積もったところ、2/abで系統誤差が統計誤差を上回り、崩壊点検出器の位置補正法を改良すべきだとわかった。 2. B→KsKs崩壊は、崩壊分岐比が非常に小さく(〜10^<-6>)、CP非対称性の測定誤差は統計により制限される。事象再構成の際、Ks選別手法、事象抽出方法の改良を新たに導入し、従来の解析で削除されていた事象を積極的に扱った。特に、大量のモンテカルロシミュレーションの情報をもとに計算した信号および背景事象の確からしさを導入することにより、事象再構成効率を従来の解析方法の1.7倍にした。
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Research Products
(1 results)