2007 Fiscal Year Annual Research Report
B中間子の稀崩壊におけるCP非対称精密測定による新しい物理の探索
Project/Area Number |
06J11405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中浜 優 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Belle実験 / B中間子 / CKM行列 / CP非対称性 / ペンギンダイアグラム / 新しい物理の探索 |
Research Abstract |
本研究では、Belle実験で取得された大量のB中間子対を用いて、b→dペンギンダイアグラムで記述される稀崩壊であるB→KsKs崩壊のCP非対称性測定を行い、測定結果を標準理論の予想値と比較することにより、標準理論を超えた新しい物理の探索を行う。今まで探索が行われてきたb→sペンギンダイアグラムで記述される崩壊とは異なるCP位相なので、新しい角度から探索が行うことが出来る。また、崩壊分岐比がb→sペンギンダイアグラムで記述される崩壊に比べて約25分の1なので、新しい粒子の微小な寄与にさらに敏感といえる。 本年度は、657MB中間子対を用いて、昨年度に確立した統計的に有利な事象抽出方法を使い、58+/-11事象のB→KsKs崩壊を観測し、さらにCP非対称性測定を行った。 崩壊と混合によるCPの破れ S=-0.38+0.69-0.77(統計誤差)+/-0.09(系統誤差) 直接的CPの破れ A=-0.38+/-0.38(統計誤差)+/-0.05(系統誤差) ともとまった。この結果は、Physical Review Letters 100,121601(2008)に掲載された。 Belle実験におけるb→dペシギンダイアグラムであらわされる崩壊におけるCP非対称測定としては初である。また、2006年に報告されていたアメリカのBaBar実験の測定結果の測定精度を超えて、世界で最高精度である。 さらに、測定結果を標準理論値S=0,A=0と比較すると、標準理論と無矛盾であり、標準理論を超えた新しい物理の有意な兆候は観測されなかった。
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Research Products
(2 results)