2006 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーカミオカンデにおける高エネルギー宇宙ニュートリノの研究
Project/Area Number |
06J11408
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西野 玄記 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子実験 / 宇宙線 |
Research Abstract |
現在、スーパーカミオカンデでは2009年始めのデータ収集系の刷新に向けた開発が進められており、本研究ではその中心であるエレクトロニクスの開発を、高エネルギー領域の観測可能領域の拡大のためを目的の一つとして進めている。 平成18年度は、そのアナログ処理を担うQTC(時間電荷変換)素子の開発とフロントエンドポードであるQBee(QTC-based Electronics with Ethernet)ボードの開発を中心に進めてきた。 QTC素子の開発に当たっては、修士課程における研究で開発された素子の改良版を開発し、再び、改善のための再評価を行い、平成18年度中に第三版の素子の開発までを行った。本年度における研究によって、QTC素子は主要な問題を解決し、ほぼ使用に耐え得るレベルまで到達することができた。ただし、さらなる測定精度の向上やクロストークの削減、非常に高い頻度での信号入力に対する対応などのために最終版の素子の製作、そして、最終評価など、平成19年度も素子の開発研究を進めていく予定である。 また、そのQTC素子を載せたQBeeの最初の試作開発も平成18年度のもう一つの重要な研究である。その開発研究における最初の課題は実際の使用を想定した低い信号レベルでのノイズを無くすことであった。そのために、ボード上でのノイズ源の詳細を調査し、ノイズ源およびその低減方法を確立することで、この課題を達成することができた。さらに、このQBeeボードでは、常時全ての光電子増倍管の信号を記録することができるような高速処理を実現するという課題もあり、そのための、TCPプロトコルを用いたデータ収集などの基礎的な開発と研究を平成18年度中に行った。その結果、十分要請を上回るような処理ができることを確認することができた。今後は、より本番に近い詳細な性能試験、長期試験を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)