2006 Fiscal Year Annual Research Report
広視野・高分解能の宇宙線望遠鏡による高エネルギー天体の観測的研究
Project/Area Number |
06J11409
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 浩司 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子天文学 / 宇宙素粒子物理学 / ニュートリノ / ガンマ線バースト / 活動銀河核 / 宇宙線 |
Research Abstract |
本年度において最も重要度の高かった研究活動は、観測地であるアメリカ合衆国ハワイ州ハワイ島、マウナロア山山頂付近に、望遠鏡格納庫と望遠鏡本体を複数台建設し、光学要素を設置し、その調整を行う作業であった。これは、望遠鏡の撮像部やデータ取得部の構築などの作業とは異なり、日本から観測地へ多くの人材を一度に派遣する必要を伴う。そこで本研究員は、年度開始時の計画通り、本年度のほぼ半分の期間を観測地で過ごし、共同研究者とともに望遠鏡の建設・光学系の調整に携わった。結果、計6台の望遠鏡を光学系まで完成させ、全天のほぼ半分をカバーすることができるようになった。これを受け、平成19年4月現在、定常観測の開始に向けた観測地の準備が共同研究者の手によって着々と進んでいる。この観点において、平成18年度の研究目的は達成されたと言える。 一方、大気チェレンコフ光の撮像によるTeVガンマ線・超高エネルギーニュートリノの観測という物理成果を現実のものとするためには、望遠鏡撮像部の各部品を統合する前の段階で、コンピューターシミュレーションが必要不可欠である。この研究要素は、当初の研究計画では来年度に行う予定であったが、上記のように撮像部の統合・組立の前に行う必要が出てきたため、本年度、これを前倒しで行った。結果、まだ概算ではあるが、超高エネルギーニュートリノの観測における望遠鏡の感度などの、物理成果に直接関わる量を見積もることができるようになった。これは、3年間で物理成果を得るためには不可欠な研究要素であり、研究が進んだことの意味は大きい。本研究員は、平成18年度中、このシミュレーションの概念・実装法とその結果について、国際学会と国内研究会でそれぞれ1回ずつ発表を行った。 平成18年度の最後には、前述の撮像部の統合へ向けた研究を開始しており、平成19年度にはこの研究の成果が期待される。
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