2006 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー重イオン衝突実験での、ジェットをプローブとした超高温高密度状態の研究
Project/Area Number |
06J11413
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森野 雄平 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子物理 / 核物理 / 加速器 |
Research Abstract |
ブルックヘブン国立研究所のRHIC加速器における高エネルギー重イオン衝突実験で生成される超高温高密度物質中での高横運動量粒子の振る舞いを調べることが、本課題の目的である。私はRHIC加速器でのPHENIX実験に従事して、特に高横運動量のheavy quark(charmとbottom quark)の振る舞いに着目している。Heavy quarkはlight quarkに比べて、その大きな質量のために超高温高密度物質中でエネルギーをあまり損失しないと予想されていたが、RHIC加速器での実験により、Heavy quarkもlight quarkと同程度のエネルギーを損失することを示唆している結果が得られた。よってheavy quarkの高温高密度物質中でのエネルギー損失機構の理解が、現段階での高エネルギー重イオン衝突実験における最重要課題の一つである。これを理解するためには、まず衝突初期に生成されるheavy quarkの内訳、すなわちcharmとbottom quarkの存在比を知る必要がある。D、Bmesonのsemi-leptonic decayのバターンが異なる事を利用してchamとbottomの存在比を陽子、陽子衝突実験で調べることを試みた。これはRHIC加速器で行われている実験では最初の試みである。そして、chamとbottomの存在比はまだ明らかにはなっていないものの、この解析方法がPHENIX実験において有効である事を確認した。
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