2007 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー重イオン衝突実験での、ジェットをプローブとした超高温高密度状態の研究
Project/Area Number |
06J11413
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森野 雄平 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高エネルギー / 原子核 |
Research Abstract |
ブルックヘブン国立研究所のRHIC加速器における高エネルギー重イオン衝突実験で生成される超高温高密度物質の性質を調べることが、本課題の目的である。私はRHIC加速器でのPHENIX実験に従事して、特にheavy quark(charmと bottom quark)を着目している。 Heavy quarkはその大きな質量のため、衝突初期にのみ生成されると考えられており、高温高密度状態のプローブとして適している。PHENIX実験ではheavy quarkからの単電子の測定によって、heavy quarkの研究を行なってきた。特に興味深い結果として、Au+Au衝突実験における単電子の大きな収量抑制と、大きな方位角異方性がある。これは、heavy quarkが高温高密度状態中において大きなエネルギーを損失し、熱平衡状態に達している事を示唆しているが、この結果を正しく解釈するには、単電子中のcharm とbottom quarkの存在比を知ることが必要不可欠である。 この目的のため、私はp+p衝突実験においてcharmを含むハドロンとbottomを含むハドロンの崩壊ゐパターンの違いを利用することによって、単電子のcharmとbottomの存在比を調べることを試みた。 この方法により、横運動量2〜7GeV/cの単電子のcharm とbottom の存在比が判明し、高温高密度中においてCharmだけでなくbottomも大きなエネルギー損失をしているらしい事がわかった。 またこの存在比から、重心系200GeVのp+p衝突におけるbottom quarkの生成断面積を求める事にも成功した。これは、PHENIX実験でrapidity O付近における最初のbottom quarkの断面積の結果であるというだけでなく、Au+Au衝突実験で観測されているJ/ψ粒子の抑制の解釈をするのにも、重要な測定である
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