2006 Fiscal Year Annual Research Report
半導体劈開表面に形成される二次元電子系における新物性の探索と研究
Project/Area Number |
06J11418
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
望月 敏光 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子閉じ込め / 物性実験 / 半導体物性 / 表面・界面物性 / 走査プローブ顕微鏡 / 超薄膜 / 量子ホール効果 / 表面ダイナミクス |
Research Abstract |
半導体二次元電子系では量子ホール効果や金属絶縁体転移といった興味深い物理現象が現れるが、これらの現象に関する研究の舞台は、これまでシリコン絶縁体電界効果トランジスタやヘテロ接合系といった半導体デバイス中の界面二次元電子系に殆どの場合において限られてきた。 その一方でインジウム砒素やインジウムアンチモンといった半導体表面に金属をわずかに吸着させた系において生じる二次元電子系の存在が知られており、この電子系が高い移動度を持つことも期待されていた。この半導体表面二次元電子系の電気伝導は辻、望月、岡本がインジウム砒素に銀を吸着した系で初めて測定し、量子ホール効果の観測に成功した[1,2]。 半導体表面二次元電子系の電気伝導は、走査プローブ顕微鏡によるミクロな現象との同時測定や、吸着物質と二次元電子系の相互作用による新物性の探究といった将来性豊かな研究対象である。今年度はインジウム砒素表面に強磁性金属である鉄を1原子層以下という、ごく少量だけ吸着した系での二次元電子物性の研究を行った。 鉄吸着インジウム砒素表面二次元電子系は平行磁場下で大きな正の磁気抵抗を示した。これは温度1.5K、磁場9Tにおいて最大100%程度の大きさを持ち、さらにShubnikov-de Haas振動の磁気方位依存性からこの磁気抵抗がスピン偏極によるものでないということが明らかになった。またこの系を100K程度に昇温し、再び低温へと冷却することで磁気抵抗が消失する様子が観測されたことから、表面吸着原子の形態にこの二次元電子系の新しい物性が起因していることも明らかになった。 [1]Yukihide Tsuji, Toshimitsu Mochizuki, Tohru Okamoto : Applied Physics Letters 87, 062103(2005) [2]岡本、辻、望月 固体物理41,339-(2006)
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Research Products
(1 results)