2008 Fiscal Year Annual Research Report
半導体劈開表面に形成される二次元電子系における新物性の探索と研究
Project/Area Number |
06J11418
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
望月 敏光 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピングラス / III-IV族化合物 / 超薄膜 / 低次元系 / 磁性 / 量子ホール効果 / 半導体 / 表面 |
Research Abstract |
半導体二次元電子系の電気伝導の研究の舞台はこれまでSi-MOSFETやHEMTといった半導体素子中に限られてきた。しかし我々はインジウム砒素やインジウムアンチモンといった半導体表面に他の物質を極僅かに吸着させることで誘起される、表面二次元電子系の電気伝導測定の手法を確立した。[1] 半導体表面二次元電子系の電気伝導測定を通じ、この系が表面吸着物質のスピン状態に反応して電気抵抗を変化させることが判明した。鉄を吸着したインジウム砒素表面二次元電子系の電気伝導が、被覆率0.4原子層付近に限って磁場に対する履歴を示すことが分かった。詳細な測定から吸着Fe膜が理論的には存在するか議論の分かれる2次元スピングラスである事が示唆されたため、履歴現象の更なる系統的な測定を進めた。その結果、 (1)試料に磁場を印加することで電気抵抗が減少するが、試料を加熱しながら磁場を印加したほうが減少幅が大きくなる。抵抗の減少幅が飽和する磁場は条件次第だが1Tから10T程度までの幅を持つ。 (2)様々な温度で抵抗の減少幅を測定すると、4K付近が最も減少幅が大きくなる。 (3)印加磁場を変えた後、抵抗が1000秒以上に渡る長時間の緩和を示す。 以上からFe原子のスピングラスを強く示す結果を得た。[2] [1]Yukihide Tsuji, Toshimitsu Mochizuki, Tohru Okamoto : Appl. Phys. Lett. 87, 062103(2005) [2]Toshimitsu Mochizuki, Ryuichi Masutomi, Tohru Okamoto : Phys. Rev. Lett. 101, 267204(2008)
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Research Products
(3 results)