2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体をゲスト、液晶・無機層状物質をホストとするホスト・ゲスト化合物の創製
Project/Area Number |
06J11462
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 純 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員DC1 (60585800)
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Keywords | LB法 / 粘土薄膜 / 触媒的酸化反応 / ホスト、ゲスト |
Research Abstract |
本研究では、ゲスト分子とホストの2成分を含む超分子集合体を構築し、ゲストあるいはホスト単独では発生しえない機能の発現を目指している。本年度はホストとしてよく知られた粘土鉱物を薄膜化し、その薄膜上に両親媒性Ru(II)錯体を規則配列化に関する研究を遂行した。 LB法を用いて、陽イオン性かつ両親媒性のRu(II)錯体単分子膜と陰イオン性粘土鉱物単一シートを規則配列できることをAFM、SEM観察及び電気化学測定から確認した。さらに膜作成時の粘土粒子の濃度によって、錯体粘土ハイブリッド膜におけるパッキングを制御できる事が分かった。最も密な膜ではRu(II)由来の酸化還元応答が失活したことから粘土薄膜は電子移動を阻害すると結論付けられた。これは粘土鉱物単一シートが、厚さ1nm程度のフィロシリケート構造である事を考えれば妥当な結果といえる。一方、亜硝酸イオンを加えた状態で電気化学測定を行った場合には、Ru(II)の酸化還元応答が見られた。これは亜硝酸イオンが還元剤として働く事で、粘土シートを通した電子移動が可能となった事を意味している。さらに構造中にCo(II)を含む粘土鉱物を用いた場合にも、Co(II)、Ru(II)間の電子リレーが見られた。これらの結果は通常絶縁体とされる粘土鉱物も単一層まで剥離すれば、環境によっては電子を通しうる事を意味している。本研究結果は学術論文として報告した(Yoshida Jun et al. Langmuir 2006,9591)。
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