2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体をゲスト、液晶・無機層状物質をホストとするホスト・ゲスト化合物の創製
Project/Area Number |
06J11462
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 純 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1) (60585800)
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Keywords | 超分子 / ホスト・ゲスト / 金属錯体ゲル |
Research Abstract |
本研究では、ゲスト分子とホストの2成分を含む超分子集合体を構築し、ゲストあるいはホスト単独では発生しえない機能の発現を目指している。昨年度は金属錯体(ゲスト)と無機層状物質である粘土鉱物(ホスト〉との複合化、及びその電気化学特性について明らかにした。本年度は1)新たな金属錯体型ホストの構築、及び2)金属錯体型ソフトマテリアルの開発、という2点に関する研究を遂行した。以下それぞれについて述べる。 まず1)に関しては、金属錯体型分子をビルディングブロックとして配位高分子を構築する手法を試みた。具体的には、平面型bis・beta-diketonate Co(II)錯体とterpyridine型Ni(II)錯体を用いた。前者は金属イオン的な直線型素子として、後者は直線配位子として機能する。これらの組み合わせにより、1次元鎖構造を持つ錯体を合成した。この1次元鎖の積層構造はビルディングブロックを交換する事で制御する事ができた。錯体としてCo(hfac)2を用いた場合には井桁型に1次元鎖が組みあがり、その井桁の隙間中には[Co(hfac)3]-錯体がゲスト分子として取り込まれた。さらに、このゲスト錯体は自然分晶を示し、デルタ体、ラムダ体が3:1の比で存在した。これは、ビルディングブロックを交換する事で、一次元鎖の配列、さらにはゲスト分子の配列までを制御できた系として極めて興味深いものである。 次に2)であるが、錯体分子の集合体を構築する過程で、一部のオリゴピリジン配位子から成る錯体がゲル化する事を見出した。通常ゲルとは高分子鎖のからみあいによるものと理解されているが、今回我々が見出した系は金属錯体が非常に弱い相互作用により擬似的なポリマー構造を作りゲル化したものと理解できる。現在はこの機構解明に向けて合成的なアプローチと物理化学的なアプローチを平行して進めている。
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