2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体をゲスト、液晶・無機層状物質をホストとするホスト・ゲスト化合物の創製
Project/Area Number |
06J11462
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 純 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1) (60585800)
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Keywords | ホスト、ゲスト / 金属錯体 / 超分子 / 液晶 / 配位高分子 |
Research Abstract |
本研究は通常剛直な構造を持つ金属錯体を用いて、柔軟構造を持つ分子集合体を構築する事を目的とし、以下に示す2つのアプローチを行った。1つはキラルな錯体をゲストと捉え、液晶物質と組み合わせる手法である。ネマチック液晶はキラルな物質のドーピングにより、らせん構造へと変化する事が知られている。液晶との親和性を持つ長鎖アルキル基を導入したキラルRu(III)錯体を新規に合成したところ、結果予想通りにらせん構造が誘起されただけでなく、らせん誘起能力は180と当時知られていたキラル物質の中で最高値を示した。さらに光照射により可逆的にcis-trans異性を行うアゾベンゼンを配位子に持つRu(III)錯体を用いて、光照射によるらせん長の制御も試みた。その結果液晶中にわずか1%存在するRu(III)錯体の光異性化によってらせんの伸縮が効率的に起きる事を確認した。2つ目は金属錯体をホストとするアプローチである。通常は液相で行われる金属イオンと配位子の自己集合を固相で誘起する事を試み、3-cyano-pentane-2,4-dioneとM(OAc)2・nH2O(M=MnII,FeII,CoII,NiII,CuII,ZnII,CdII)の固体混合物から、固相反応によって配位高分子が構築できる事を見い出した。また、固相における、単核錯体と配位高分子間の可逆的な構造変換や、配位高分子の構造変換が進行する事例も見出した。以上の結果は"剛い"金属錯体も弱い相互作用によって集積する事で、その構造に柔軟性を付与できる事を示している。
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