2007 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析法による電位依存性ナトリウムチャネルの立体構造解析と機能相関研究
Project/Area Number |
06J11463
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 宏明 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 質量分析法 / 反応機構解析 / 量子化学計算 / ルイス型糖鎖 |
Research Abstract |
膜タンパク質の半数以上は翻訳後修飾を受けているとされている。中でも糖鎖修飾はタンパク質機能変化に大きく影響すると考えられていることから、糖鎖構造解析は生体化合物の機能解析に必須であると考えられる。本研究では、質量分析法によるタンパク質構造解析の一環として、糖鎖構造解析に着目して研究を行っている。糖鎖は近代、大規模な質量スベクトルデータベースが構築されつつあるが、反応機構については分っていないことが多い。反応機構を知ることで、将来的に糖鎖の断片化スペクトルを分子構造から予測することが可能性になると考えられ、断片化スペクトルのデータベースマッチングによる簡便な糖鎖構造決定の理論的な補強が期待できる。上記の理由から、本年度は質量分析計内における生体分子の断片化反応に注目し、従来明らかでなかった負イオンオリゴ糖鎖の断片化反応を実験、理論的手法を用いて解析した。 反応機構解析に用いるオリゴ糖鎖として、ルイス型3糖構造異性体、Lewis a (Le^a)とLewis X (Le^X)を用い、安定に生成するイオン種であるクロリドイオン付加分子として解析を行った。その理由として、これらのイオンからは負イオンオリゴ糖鎖の断片化反応に特徴的なC,Z-typeの断方化が観測されるため、ルイス糖鎖の断方化解析が他のオリゴ糖鎖の断方化反応にも適用可能であるからである。本研究により巨大なオリゴ糖鎖の解析に量子化計算が用であるかどうか検証ができることが期待できる。上記の理由により、ルイス型3糖の断片化反応機構解析を行った。この結果、実験により類推した反応機構を量子化計算で検証することで、実験結果を合理的に説明可能な反応モテルを見出すことができた、即ち、実験と理論的手法の組み合わせが、負イオンオリゴ糖鎖の断片化反応の解析に有用であることが分かった。本研究で用いたオリゴ糖鎖の反応機構を実験、理論の双方のアプローチによる解析手法を用いて、今後様々なオリゴ糖の断片化反応機構解析研究が展開されることが期待できる。
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Research Products
(3 results)