2006 Fiscal Year Annual Research Report
X線結晶構造解析による、脱アミノ化酵素の作用機構及び基質認識機構の解明
Project/Area Number |
06J11473
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉谷 光央 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | APOBEC3G / デアミナーゼ / Vif |
Research Abstract |
ヒトAPOBEC3G及びAPOBEC3Fタンパク質に関して発現条件の検討を行った。大腸菌を用いてGST融合タンパク質を発現させ生化学的に活性を検出した先行研究と同様に行なったところ、大量に発現したが可溶化率が非常に低く、収量が少なかった。収量を上げる試みの結果、古細菌Methanocaldococcus jannaschii由来のペプチヂルプロリル異性化酵素(PPI)をN末端に持つ融合タンパク質が良く可溶化した。プロテアーゼを用いてPPI部分を切り離し、精製を行なったが、結晶化に適した純度の精製標品は得られなかった。 今年度に報告された生化学活性測定の論文によると(Journal of Virology, 80, 5992-6002, 2006)、昆虫細胞で調製したAPOBEC3Gの性質は生体内の現象を説明できるが、大腸菌で調製したAPOBEC3Gは生体内とずれた性質を示す。そのため、昆虫細胞を用いて発現させるために必要な発現系を作成した。 平行してAPOBEC3Gタンパク質と相互作用するHIV-1 Vifタンパク質を、大腸菌を用いて大量調製する系の確立を行った。精製の便宜を図り、HIV-1 VifのN末端にヒスチジンタグ、あるいはGSTタグを融合させるベクターを作成し、それぞれ培地の種類、温度などを検討したが、可溶性画分HIV-1 Vifタンパク質は得られなかった。C末端が凝集を起こし沈殿している可能性を考えて数残基ずつ順番に削った発現系を8種類作成するなど、条件の改良を続けたところ、温度は20度、IPTG濃度は1mMで、発現誘導を20時間かけることで、十分な量のタンパク質を可溶性画分に得ることができた。条件検討の結果、SDS-PAGEで見て95%以上の純度に精製した。結晶化条件検討の結果、針状結晶を得ることができたが、X線回折には適していない。
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