2007 Fiscal Year Annual Research Report
マルチストレス応答性転写因子OsNAC6の機能解析とその応用
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06J11502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 孝幸 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イネ / ストレス / NAC6 / プロモーター解析 |
Research Abstract |
作物はさまざまなストレスにより,収量や品質に大きな影響を受けている.農業生産性の向上のため,ストレス耐陸植物の作出が望まれている.そのためには植物のストレス応答機構の解明は不可欠である,イネの転写因子OsNAC6遺伝子の転写産物が,低温・塩・乾燥・アブシジン酸(ABA)処理といった非生物的ストレス,害虫の食害を想定した傷害処理やジャスモン酸(JA)処理の生物的ストレスの両方で蓄積することを報告した.このような非生物的ストレスと生物的ストレスの両方のストレスに応答するマルチストレス応答性を示すイネの転写因子は,本遺伝子が最初の例である, OsNAC6遺伝子が属するNACファミリー遺伝子はN末端に高度に保存されたNACドメインと呼ばれるDNA結合ドメインをもつ植物特異的な転写因子である.これまでにNACファミリー遺伝子が発生・光応答・老化などさまざまな役割を担っていることが報告されている,OsNAC6遺伝子の機能については,この遺伝子を過剰発現させた形質転換イネにおいて耐塩性といもち病耐性の向上が報告されており,実際に非生物的ストレスと生物的ストレスの両方に応答し,機能していることを示唆している.転写因子OsNAC6の下流については,イネのプロトプラストを用いたトランジェントアッセイ法と過剰発現させた形質転換イネによるマイクロアレイ解析から,peroxidaseなどのストレス応答性の遺伝子があることも報告されている. 本研究では,転写因子OsNAC6が転写レベルでマルチストレス応答性を示すことから,OsNAC6遺伝子のプロモーター領域に着目して,転写因子OsNAC6の上流の機構を解明することを目的に実験を行った. 本研究の結果から,転写因子OsNAC6を含む各種ストレスにおけるシグナル伝達経路がOsNAC6プロモータ7領域で統合されていることが示唆された.
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Research Products
(3 results)