2006 Fiscal Year Annual Research Report
マルチストレス応答性転写因子OsNAC6の機能解析とその応用
Project/Area Number |
06J11502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 孝幸 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ストレス耐性 / 転写因子 / OsNAC6 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
OsNAC6遺伝子の転写開始点より上流-940bpのプロモーター領域を用いて,5'側から段階的に切り詰めたプロモーター配列をGFP::GUSの融合タンパク質に繋いだ3種類のコンストラクトを作成した.これらのコンストラクトを導入した形質転換イネをストレス処理した後,GUS染色によって各ストレスに対する応答を調べた.その結果、傷害処理に対する応答は全ての形質転換イネで観察された.このことは傷害応答に必要なシス因子はOsNAC6プロモーター領域の上流-120〜0bpまでの領域に存在することを示唆している.ABA処理とJA処理については定量的な判断が求められるため、ノーザン解析によって調べた.その結果,ABA処理に対する応答はプロモーター領域の上流-940〜-210bpが,JA処理に対する応答は上流-210〜-120bpが中心的な役割を担っていると考えられた.ABA処理とJA処理の応答について、イネ培養細胞(OC cell)を用いたトランジェントアッセイ法で確認したところ、ノーザン解析と同様の結果が得られた.これらのことからOsNAC6プロモーター領域では,ABA・JA・傷害でそれぞれ別々のシス因子が中心的に働き、各シグナル伝達経路がOsNAC6で統合されていることが分かった. さらに、それぞれのストレスに対して重要と考えられたプロモーター領域を35S minimalプロモーターとGFP::GUSに繋いでOC cellによるトランジェントアッセイ法によって応答を見たところ,いずれのコンストラクトでも応答がみられなかった.このことから各ストレス応答はそれぞれの中心的な役割を担っていると考えられる領域のみでは機能せず、ストレス応答には特に-120〜0bpの領域が不可欠であることがわかった. OsNAC6遺伝子によるシグナル伝達経路の統合がシロイヌナズナにおいても保存されている機構なのかを確認する目的で,OsNAC6プロモーター領域(-940〜0bp)にGFP::GUSを繋いだコンストラクトをシロイヌナズナに導入して各種ストレスに対するGUSの染色反応による応答を現在調べている.
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Research Products
(1 results)