2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11505
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井出 曜子 The University of Tokyo, 生物生産工学研究センター, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 植物栄養 / メタボローム / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
本研究の目的は、植物の栄養応答の制御に関わる新たな因子の同定と、植物の栄養応答メカニズムの全体像の解明である。以下に本年度の研究成果の概要を示す。 (1)多量必須元素である窒素と硫黄の比に応答してレポーター遺伝子の発現量が変化する形質転換シロイヌナズナを材料に、硫黄欠乏に対する遺伝子発現応答に異常が見られる変異株を複数単離し、遺伝的マッピングにより原因遺伝子の同定を行ってきたが、本年度はそれぞれの変異株の生理学的解析を行った。UPLC装置を用いて植物体内の遊離アミノ酸濃度を測定し、キャピラリー電気泳動装置を用いて植物体中のイオン濃度を測定した。これにより硫黄欠乏によって起こる野生型株と変異株の代謝の変化についてより詳しい知見が得られた。また、マイクロアレイ実験により、硫黄欠乏によって野生型株と変異株でどのような遺伝子発現パターンの違いが見られるのかを解析した。 (2)シロイヌナズナで最近同定されたモリブデン酸トランスポーターMOT1の欠損株は、野生型株と比べ微量必須元素であるモリブデンの欠乏に対して感受性であった。この変異株と野生型株のモリブデン欠乏応答を調べるために遺伝子発現と代謝変動を網羅的に解析した。トランスクリプトーム解析およびメタボローム解析は本年度も引き続き共同研究として理化学研究所のメタボローム基盤研究グループと行った。GC-TOF/MSおよびCE-TOF/MSを用いて多数のサンプルで代謝産物の変化を調べ、モリブデン欠乏が多くの代謝産物の蓄積の変化をもたらすことが明らかとなった。特定の遺伝子がモリブデン欠乏で変化することも確かめられた。また、モリブデン補酵素が生成に関与する植物ホルモンであるABAの内在量の測定を、理化学研究所の成長制御研究グループと共同で行い、モリブデン欠乏がABAの合成にもわずかに影響を与えることが示された。
|
Research Products
(3 results)