2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸島 和也 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | グルコース / カタボライト抑制 / Streptomyces griseus / セルロース / セロオリゴ糖 / Lacl型転写因子 |
Research Abstract |
【背景】 放線菌Streptomyces属のグルコースカタボライト抑制については、これまでに『グルコースキナーゼ(GlkA)が重大な役割を担う』ことしか明らかになっていなかった。研究代表者は昨年度、「GlkA以外にグルコース抑制に影響を与える因子」を同定した。今年度は当該因子の機能解析を行った。 【方法と結果】 ランダム変異導入と相補実験により昨年度同定された「GlkA以外にグルコース抑制に影響を与える因子」は、LacI型転写制御因子に属し、過去に他の放線菌においてセロビオースまたはセルロース代謝の制御因子として同定されていたCebR/CelRと高い相同性を持つものであった。S.griseusにおける当該遺伝子の翻訳産物がどちらの性質を持つかを調べた結果、以下の結果より両者の性質を併せ持つものであることが明らかになった。 ・CebR/CelRに関する過去の報告を念頭にS.griseusゲノム遺伝子間領域より当該転写因子結合配列候補を検索した結果、セロビオース利用遺伝子群上流や多糖利用遺伝子上流など、合計10の遺伝子についてのべ11箇所見出された。これらすべてについて当該遺伝子翻訳産物が結合することを確認した。 ・当該遺伝子破壊株と野生株との転写量比較を行った結果、上記10遺伝子のうち7の転写量が当該遺伝子破壊により4倍以上に増加することが示された。 ・当該遺伝子翻訳産物のリガンド同定を試みた結果、セルロース分解産物であるセロオリゴ糖のうち、2量体セロビオースから6量体セロヘキサオースまで、試したすべてのセロオリゴ糖がリガンドとして作用することが示された。 更に、当該遺伝子破壊株はグルコースとラクトースの混在する培地上にて気中菌糸形成の生じなくなるいわゆるbald表現型を示すことが明らかとなった。この結果は、当該遺伝子が放線菌における炭素源と形態分化とを結びつける因子であることを示唆するものである。今後、グルコース抑制の機構解明を視野に入れながら、当該遺伝子が糖源特異的形態分化不全を引き起こす機構を明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)