2006 Fiscal Year Annual Research Report
筋特異的ユビキチンリガーゼMURFとコネクチンによる筋恒常性維持メカニズムの解析
Project/Area Number |
06J11508
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小山 傑 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 筋萎縮 / ユビキチン |
Research Abstract |
MURF1は、筋萎縮誘導に際し主要な役割を担う、骨格筋および心筋特異的なユビキチンリガーゼである。本年度は、MURF1による筋萎縮誘導のメカニズムおよびその生理的意義を明らかにすることを目的とし、二つの観点から研究を行った。即ち、生化学的手法を用いた分子レベルでの解析と、遺伝子改変マウスを用いた個体レベルでの解析を行った。 まず、生化学的手法による解析により、MURF1の相互作用分子の一つとして、筋型クレアチンキナーゼ(M-CK)を同定した。M-CKは筋細胞内におけるエネルギー代謝制御の中心的酵素である。また、培養細胞を用いた共発現系により詳細な解析を行い、この結合はMURF1のB-boxドメインを介していること、MURF1がM-CKをユビキチン化し、プロテアソームによる分解へと導くことを明らかにした。 続いて、MURF1遺伝子の欠損(KO)マウスと野生型マウスをアミノ酸飢餓による筋萎縮誘導条件下で飼育し、比較解析を行った。これらのマウスについて血中アミノ酸濃度を測定したところ、MURF1KOマウスでは筋萎縮誘導時に必須アミノ酸濃度が低下していることが明らかとなった。これは、必須アミノ酸の中でも、筋細胞内でエネルギー源として利用される分岐鎖アミノ酸濃度について特に顕著であった。また、MURF1の相互作用分子として同定されたM-CKの量が、野生型マウスに比べKOマウスで増加していることも明らかにされた。このことは、実際に生体内においてもMURF1がM-CKを分解に導いていることを示していると考えられた。 以上のように、本年度の研究により、MURF1が飢餓に代表される異化的な条件下において、必須アミノ酸の供給およびエネルギー代謝酵素(M-CK)の分解制御を介し生体のエネルギー代謝の恒常性維持に寄与していることが示唆された。なお、これらの結果は、近く論文として投稿する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Stomach-specific calpain, nCL-2, localizes in mucus cells and proteolyzes the beta-subunit of coatomer complex, beta-COP.2006
Author(s)
Hata S, Koyama S, Kawahara H, Doi N, Maeda T, Toyama-Sorimachi N, Abe K, Suzuki K, Sorimachi H.
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Journal Title
The Journal of Biological Chemistry 281・16
Pages: 11214