2006 Fiscal Year Annual Research Report
森林湿原の池沼における栄養塩動態と食物網に対するカエル目幼生の影響
Project/Area Number |
06J11512
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩井 紀子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カエル目幼生 / 栄養塩回帰 / 間接効果 / リター分解 |
Research Abstract |
本年度の目的は、カエル目幼生が、摂食によって直接的にリター分解に与える影響、および栄養塩回帰を通して間接的にデトリタス食者に与える影響を、より自然に近い条件下で明らかにすることである。なお、実験を行うにあだり、力エル目幼生の生態に詳しいRoss Alfbrd教授の指導を受けることになり、2006年10月よりオーストラリア、ジェームスクック大学に出向している。 大学構内に自然の池を模したタンクを設置し、幼生の飼育を行った(現在も飼育中)。各タンクにリターバックを投入し、一定期間後の減量を幼生タンク、非幼生タンク間で比較することにより、幼生がリター分解に与える影響を測定した。その結果、幼生量に比例してリター分解量の増加が見られ、カエル目幼生がリターの分解に貢献していることが示された。幼生がリターの質に与える影響についても、AFDM, CN比の測定を行って比較する予定である。また、各タンクから羽化する昆虫の採集、およびタンク水のサンプリングを定期的に行っている。タンク水中のクロロフィル量測定、水質(N, P量)測定、羽化昆虫量のカウントを現在実施中であり、これによって、幼生が一次生産者、デトリタス食昆虫、および水質に与える影響を明らかにする。 さらに、熱帯雨林の渓流においても、同様の目的で実験を行う予定であり、渓流生態に詳しいRichard Pearson教授と研究計画について議論を重ねている。 業績としては、カエル目幼生が栄養塩回帰を通してリター食者に影響を与えることを室内実験で示した論文をOecologiaに投稿し、受理された。
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Research Products
(2 results)