2006 Fiscal Year Annual Research Report
腸管形成不全モデル動物を利用した始原生殖細胞の移動・分化メカニズムの解析
Project/Area Number |
06J11530
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 健士朗 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 始原生殖細胞 / 腸管内胚葉 / Sox17 / マウス |
Research Abstract |
マウスの生殖細胞は、生殖腺とは全く異なった系譜で形成される。胎齢7.5日に尿膜基部の胚体外中胚葉中に形成された始原生殖細胞は、増殖を繰り返しながら後腸沿いに体軸前方に移動する。胎齢8.5日の始原生殖細胞は、腸管周辺を遊走した後、10.5日齢頃になると腸間膜を経て左右それぞれの生殖腺に入る。胎齢7.5〜8.5日の胎子では、下半身で劇的な形態形成、特に、始原生殖細胞の通り道である後腸の形成が起こるため、腸管形成と始原生殖細胞の挙動との相互作用について解析することは難しい。しかしながら、腸管形成不全マウスを用いればこれまで解析が不可能であった腸管形成と始原生殖細胞との関連性が明らかになる。本研究で、腸管形成不全のSox17欠損マウスを解析し、(1)始原生殖細胞の腸管への移動、および(2)始原生殖細胞の分化能の変化、の2点について腸管形成が果たす役割を明らかにすることを目的とする。 平成18年度において、正常型(Sox17^<+/+>)および腸管内胚葉形成不全(Sox17^<-/->リマウスにおける始原生殖細胞の数的変化および局在変化の違いを明確にした。さらに、透過型電子顕微鏡を用いた微細構造レベルの解析により、始原生殖細胞自身の形態および周辺の細胞との接着様式に着目し、腸管内胚葉の分化異常および腸管内胚葉と始原生殖細胞の密な接着を示唆する結果を得た。以上の解析から、腸管内胚葉の分化異常により異所的に移動する始原生殖細胞が現れること、およびその移動異常は腸管内胚葉の分化異常と関わっている可能性を明らかにした。次に、異所的に移動した始原生殖細胞の分化パターンを調べたところ、始原生殖細胞の分化マーカーおよび核内基盤(DNAおよびピストンのメチル化)に異常は認められなかった。このことから、始原生殖細胞の分化は場所依存的でない可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)