2007 Fiscal Year Annual Research Report
性分化期マウス胎仔生殖腺における雄特異的なグリコーゲン蓄積の制御機構の解析
Project/Area Number |
06J11531
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
的場 章悟 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マウス / 性分化 / セルトリ前駆細胞 / エネルギー代謝 / Sox9 / Fgf9 / ECM / 形態形成 |
Research Abstract |
哺乳類のY染色体上の精巣決定遺伝子Sryは胎仔期の未分化生殖腺内にあるセルトリ前駆細胞で雄特異的に発現し、精巣形成を誘導する。しかし、Sryの発現開始直後に、セルトリ前駆細胞内で何が起きているのかについてはほとんど明らかになっていない。私はこの時期のセルトリ前駆細胞において、Sry依存的にグリコーゲン蓄積が誘導されること、さらにその誘導はInsulin/IGF-1-PI3K・AKT経路を介して制御されていることをこれまで報告してきた。 19年度はこの性分化期にセルトリ前駆細胞特異的にグリコーゲンが蓄積する生物学的意義について詳細な解析を行った。グリコーゲンの蓄積した直後の生殖腺では、雄特異的に中腎細胞の生殖腺への移入、血管形成などが促され、最終的に精巣索形成を伴う精巣へのダイナミックな形態形成が引き起こされる。このため、蓄積したグリコーゲンはこれらの形態変化のいずれかに必要なエネルギー源であるという仮説のもと、グルコース飢餓培養系を用いて、各形態変化のエネルギー要求性を解析した。その結果、性分化期生殖腺において精巣索形成が最もエネルギーの要求性が高い形態変化であることを見出した。より詳細に分子レベルでの発現変化を解析したところ、セルトリ前駆細胞でのSox9の発現及びその下流因子であるCol9a3やLamininの発現が特異的に阻害されていた。さらに、このSox9の発現低下はFgf9及びその機能を補佐する細胞外マトリックス(Matrigel)を添加することにより正常な発現レベルにまで回復し、最終的な精細管形成まで誘導可能になることが明らかになった。このことから、『Fgf9+ECM経路を介したSox9の発現維持機構』が最もエネルギー要求性の高いmolecular eventであり、グリコーゲンはこのエネルギー要求性の高いイベントを保障するために事前に蓄積することが示唆された。
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[Journal Article] Isolation,characterization,and in vitro and in vivo differentiation of putative thecal stem cells2007
Author(s)
Honda A, Hirose M, Hara K, Matoba S, Inoue K, Miki H, Hiura H, Kanatsu-Shinohara M, Kanai Y, Kono T, Shinohara T, Ogura A.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci USA 104(30)
Pages: 12389-12394
Peer Reviewed
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