2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森前 智行 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マクロ量子系 / マクロに異なる状態の重ね合せ / エンタングルメント / 磁性体 / 量子コンピュータ / 量子情報 |
Research Abstract |
マクロ量子系におけるマクロ量子コヒーレンスの研究をするために、まず初めに、量子多体系に現れるマクロコヒーレンスを可視化するためにマクロオブザーバブルの粗視化された準同時確率分布を導入した。量子多体状態が与えられたとき、適切なマクロオブザーバブルを二つ選び、その準同時確率分布をプロットすれば、その状態を可視化できる。適切なマクロオブザーバブルはそれほど大きくない行列を対角化するだけで効率的に求めることができる。可視化の例として、2次元XYモデルと2次元Heisenberg反強磁性体の基底状態、Shorの素因数分解アルゴリズムとGroverの検索アルゴリズムの途中に出てくる状態に対し$Xi$をプロットし、それらの状態に含まれるマクロに異なる状態の重ね合わせを可視化してみた。この準同時確率分布はWigner分布関数のように負の値もとり得るが、粗視化の幅を十分大きくすれば非負になる。Nを系のサイズとするとき、一般的な傾向として、粗視化の幅がO(N)であればNを大きくすればで準同時確率分布は非負になるようである。粗視化の幅がO(N^0)やO(sqrt{N})だとNを大きくしても準同時確率分布が非負にならない場合があることも分かった。今後は、連続対称性のある系の厳密基底状態と、対称性の破れた状態とのエネルギー差がo(N^O)であることを、無限距離相互作用XYモデルで示したい。また、マクロ量子コヒーレンスを作る時間発展も考える。スピンが同じ方向を向いた状態から局所相互作用ハミルトニアンで時間発展させて、マクロ量子コヒーレンスのつくられていく様子を確認したい。
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Research Products
(1 results)