2007 Fiscal Year Annual Research Report
「公教育の民営化」による制度改編と『日本型』私立学校制度の制度条件に関する研究
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06J11598
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒井 英治郎 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 政策過程分析 / 私立学校法 / 私立学校振興会法 / 私立学校教職員共済組合法 / 日本私立学校振興財団法 / 公教育の民営化・規制緩和 / 教育の公共性・継続性・安定性 / 中央政府における教育政策決定構造の変容 |
Research Abstract |
本年度は、「公教育の民営化」による制度改編を考察していくための作業として、私学行財政制度の形成過程に着目しながら、「政策過程分析」と「政策形成に関与したアクターに対するオーラル・ヒストリー」という2つの手法を用い分析を行った。研究の大要は、以下の通りである。 第一は、昨年度の「私学助成法」(1975年)の分析に引続く形で、私立学校の制度条件(設置主体・監督規制・公費助成など)の制度化に寄与した私学関連法の制定をめぐる過程分析を行った。具体的には、分析射程を、私立学校法(1949年)、私立学校振興会法(1952年)、私立学校教職員共済組合法(1953年)、日本私学振興財団法(1970年)など、戦後改革期と、高度経済成長期にまで拡大し、私学行財政制度の特質と構造を考察した。研究手法としては、政策過程分析のほか、オーラル・ヒストリーの手法を用いることで、戦後私学政策形成に関与した文部官僚に対するオーラル・ヒストリーや私学関係者に対するヒアリングを実施した。 第二は、株式会社・NPO法人立学校の誕生などを好例とした「公教育の民営化」という新たな政策動向に対応する形での現状分析に努め、政策過程から看取できる論理、議論の争点、採用された政策手法の観点から考察を行った。研究手法としては、過程分析のほか、公教育の民営化を推進したアクターやそれに対応したアクターに対するヒアリングを用いた。上記作業により、中央省庁等改革以降、内閣機能が強化されてからというもの、中央政府における教育政策決定構造も例外なく変容を遂げていること、従来所管庁で採用してきた縦割り型の政策形成、中教審等を駆使した合意形成の慣行、「教育下位政府」内での価値は、過去のものとなっており、そこには内閣総理大臣のリーダーシップの支持を受けた「内閣主導」の政策形成が存在し、「領域間調整」が行われていることを明らかにした。 こうして、本年度は、制度確立期、制度改編期の時期に関する基礎的研究に着手することができた。
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Research Products
(10 results)