2008 Fiscal Year Annual Research Report
「公教育の民営化」による制度改編と『日本型』私立学校制度の制度条件に関する研究
Project/Area Number |
06J11598
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒井 英治郎 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 政策過程分析 / オーラル・ヒストリー / 学校法人制度 / 私学行政制度 / 私立学校教職員共済組合法 / 第二期中教審による第9回答申 / 領域内政治 / 領域間政治 |
Research Abstract |
本研究は、制度条件(設置主体・監督規制・公費助成など)の制度化に寄与した私学関連法の制定をめぐる政策過程分析を行うことである。本年度は、前年度に引続き「公教育の民営化」による制度改編を考察していくための作業として、私学行財政制度の形成過程に着目しながら、「政策過程分析」と「政策形成に関与したアクターに対するオーラル・ヒストリー」という2つの手法を用い分析を行った。研究の大要は、以下の通りである。 第一は、前年度までの研究の継続として、戦後私学制度の3つの制度群(学校法人制度、私学行政制度、私学助成制度)の形成をめぐる政策過程のダイナミズム及び政策形成のパターンの解明に資する分析を行った。具体的には、私立学校法の制定過程(1949年)における学校法人制度及び私学行政制度の構想をめぐる論議、私立学校教職員共済組合法の制定過程(1953年)におけるダイナミズムとアクター間関係、第二期中央教育審議会による第9回答申(1995年)の作成過程における審議など、戦後改革期から高度経済成長期に至るスパンを対象とした私学行財政制度の特質と構造を考察した。研究手法としては、政策過程分析の他、オーラル・ヒストリーの手法を採用し、戦後私学政策形成に関与した文部官僚に対するオーラル・ヒストリーや私学関係者に対するヒアリングを実施した。 第二は、戦後日本の文脈において、私学がいかなる政策環境に置かれ、それに対していかなる政策が打ち出されてきたのか、私学関連法の通史的分析を行うとともに、近年の私学行財政制度の再編期における政策環境の変化と今後の課題を析出した。 こうして、本年度は、対象とする年代やその時代的文脈、各アクターの性格と各政策段階での行動様式、イシューの固有性と一般性などの条件・制約・制限を加味しながら、制度形成期(戦後改革〜1950年代)及び制度確立期(1960〜70年代)の分析を行った。
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Research Products
(14 results)