2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規高分子カルセランド型ナノ金属触媒の開発とその応用
Project/Area Number |
06J11614
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮村 浩之 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金ナノクラスター / 不均一系触媒 / アルコール酸化 / 高分子カルセランド型触媒 / ポリスチレン誘導体 / 触媒回転速度 / 室温酸素酸化反応 / マイクロカプセル化 |
Research Abstract |
金は化学反応に対して安定であり、そのバルクの金属は触媒活性を持たない。しかし、その粒子径をナノメートルサイズまで減ずると特異な触媒活性を有することが報告されている。このような金ナノクラスター触媒において、いかに小さな粒子径を維持したまま安定化できるかが触媒活性に大きく影響する。筆者は、新たな手法を用いることにより、有機高分子によって安定化された金ナノクラスター触媒を調製し、本触媒がアルコールの室温酸素酸化反応に有効に機能することを見出した。 まず、筆者は還元的に調製した金ナノクラスターがポリスチレンで安定化され、相分離を行うことでマイクロカプセル化金ナノクラスターが調製できることを見出した。そこでポリスチレンを基盤とし、内部に架橋可能な部位を持つポリマーで安定化させ、続くマイクロカプセル化、加熱架橋することで、新規高分子カルセランド型金ナノクラスター触媒を調製した。本触媒調製では金属の含有量を調節することで、担持されるクラスターのサイズが調整可能であった。 次に本触媒を用いて1-フェネチルアルコールの酸化反応を試みたところ、反応が円滑に進行することがわかった。さらに、より小さいクラスター(1-4nm)を含有する触媒ほど高活性を有すること、酸化反応後本触媒からの金属の流出は観測されず、高活性を維持したまま10回以上の回収・再使用も可能であることも明らかにした。また、1級、2級、ベンジリック、アリファティック、アリリック、ヘテロ環を有するアルコールと様々な基質の酸化反応に有効に機能した。 さらに、本触媒は酸素雰囲気、無溶媒条件下、2万を超える触媒回転速度を有し非常に高活性であることも明らかにした。 本反応系は酸素のみを消費し水のみを副成するため、アトムエコノミーの点で優れているとともに非常にクリーンであると言える。
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Research Products
(1 results)