2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規高分子カルセランド型ナノ金属触媒の開発とその応用
Project/Area Number |
06J11614
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
宮村 浩之 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 金属ナノクラスター / 不均一系触媒 / アルコール酸化 / 高分子カルセランド型触媒 / ポリスチレン誘導体 / 室温酸素酸化反応 / マイクロカプセル化 / キノン合成 |
Research Abstract |
高分子カルセランド型金-プラチナ二元クラスター触媒の開発 これまで我々が開発してきた高分子に金クラスターを担持させた高分子カルセランド型金クラスター触媒(PI Au)は室温、酸素雰囲気でアルコールの酸化に高い活性を示すものの、塩基を必要としたため、一級アルコールの酸化でアルデヒドの選択性が低く、原子効率に未だ改善の余地があるといった問題を有していた。そこで、金属種の二元化の検討を行ったところ、二種類の金属塩を同時に還元して調製したナノクラスターを高分子カルセランド型触媒化すると、中性、室温アルコールの酸素酸化反応に高い活性を示すバイメタル触媒(PI Pt/Au、PI Pd/Au)が得られた。特にPI Pt/Auは、一級アルコールのアルデヒドへの選択性が高いばかりでなく、室温、空気雰囲気下、純水中という極めて穏和な条件でもアルコールの酸化に有効であった。また、本反応系には水が不可欠であることが明らかとなり、金属ナノクラスターを用いたアルコールの酸素酸化反応の機構の解明に重要な知見を与えた。さらに、Pt/Au、Pd/Au中のクラスターのEDS分析によって、測定したすべてのクラスターが両方の元素を含有することがわかった。本手法は今後未知の反応性が期待される多元金属クラスター触媒の簡便な合成法として非常に有用である。 高分子カルセランド型金属ナノクラスター触媒によるヒドロキノン類の酸素酸化反応の開発 我々は酸素の酸化力を、穏和な条件の下高い酸化還元電位をもつキノンに伝播させることができれば極めて有用な酸素酸化反応系が構築できるのではないかと考え検討を開始した。ナノクラスター触媒を用いるアルコールの酸化反応における知見から推定される反応機構によればヒドロキノン類も同様に穏和な条件下酸化されると考えPI Auを触媒として用いたところ、二相溶媒条件下、室温、中性、空気雰囲気下電子供与基を有するヒドロキノンは定量的にキノンへ酸化された。一方、Pt塩を還元してPI Auと同様の手法で調製したPI Ptを用いるとテトラクロロヒドロキノンをはじめ電子吸引基を有するヒドロキンン類も同条件下定量的にキノンを与え、活性を維持したまま連続13回の回収再使用に耐えた。このような酸化還元電位の高いキノンへの酸素酸化反応は世界で初めての例である。
|
Research Products
(3 results)