2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規高分子カルセランド型ナノ金属触媒の開発とその応用
Project/Area Number |
06J11614
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
宮村 浩之 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金ナノクラスター / 不均一系触媒 / 酸素酸化 / オルトクロラニル / ジヒドロピリジ / 過酸化水素製造 |
Research Abstract |
昨年度までに高分子固定化白金ナノクラスター触媒を用いることで、穏和な条件下、酸化還元電位の高いヒドロキノンの酸素酸化が実現した。そこで、より強力で汎用される酸化剤であるDDQやo-chloranilを反応系中で酸素の酸化力でもって再生できれば、より汎用性の高い酸素酸化反応が実現できる。 まず、酸化耐性に優れた高分子を用いる必要性から、筆者の所属する研究室で開発されたシロキサン結合による架橋構造を有する高分子を担体として用いることとした。本高分子を担体として、マイクロカプセル化、架橋処理を行うことで、還元的に調製した白金ナノクラスターを含有する有機-無機ハイブリッド高分子固定化白金ナノクラスター触媒(HB Pt)を開発した。本触媒はPI Pt同様電子吸引基を有する酸化還元電位の高いヒドロキノンの酸素酸化反応に有効に機能した。 インドリンのインドールへの酸化反応、ジヒドロピリジンのピリジンへの酸化反応をモデル反応として、HB Pt触媒、触媒量のo-chloranilを用いその酸素酸化反応の検討を行った。その結果、HB Pt(0.25mol%)、o-chloranil(0.5mol%)という非常に低い触媒量でも、穏和な条件下、高い収率で目的物が得られ、Figure 1に示すように、三重項の酸素の酸化力を酸化還元電位の高い一重項の酸化剤であるo-chloranilに受け渡し、その酸化力で種々の酸化反応を行う、酸素を末端酸化剤とした汎用性の高い酸素酸化反応系が実現した。 また、触媒がキノン類の水素添加反応に有効に機能することを見出し、エチルアントラキノンの室温水素添加による過酸化水素の製造系にも適用可能であった。従来法では、エチルアントラキノンの過剰還元による副生成物の生成が問題であったが、本触媒を用いる系ではそのような副生成物は生成せず、定量的に過酸化水素を発生させることができた。
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Research Products
(3 results)