2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミエリンにおける生理活性脂質リゾホスフマァチジン酸の機能解析
Project/Area Number |
06J11622
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥平 真一 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リゾボスファチジン酸 / リゾボスホリパーゼD |
Research Abstract |
生理活性脂質リゾボスファチジン酸(LPA)は血液中においてリゾボスファチジルコリン(LPC)にリゾホスホリパーゼD/autotaxin(ATX)が作用することにより産生される。LPAの生体内における機能を明らかにする目的で、その産生酵素であるATXに着目し解析を行っている。 LPAは血小板の活性化されたような状況でよく産生され、種々の細胞でサイトカインの発現を誘導し、また細胞の増殖・運動性を促進することから、創傷治癒において何らかの機能を有しているものと考えられている。そこで抗ATX阻害抗体投与下においてマウズの皮膚創傷モデルを行ったところ、創傷治癒の進行に遅れが認められた。血小板の活性化の生じる創傷の初期炎症過程においてATXがLPA産生を介して何らかの機能を有していると予想し、炎症初期の血管反応および血球浸潤に着目した解析を行っている。これまでに抗ATX抗体投与下において創傷にともなう好中球浸潤が抑制されること、またLPAをマウス皮内に投与すると血管透過性が亢進することを明らかにしている。LPAによる血管透過性の亢進は部分的にはマスト細胞の活性化を介していることがわかり、また内皮細胞への作用の寄与もあることが示されている。血管透過性の亢進は創傷治癒のもっとも初期の段階であり、ヒスタミンやPGE_2などこれまでにいくつかの因子が報告されているが、これら既知の因子との関係を抗ATX抗体を用いて明らかにできると考える。 また、確立したモノクローナル骨体をもとにlysoPLD/ATXのSandwich ELISA定量系を確立した。様々なヒト臨床サンプルの定量を行ったところ、肝障害時に血中のレベルが高くなること、また血中ATXレベルが栄養アセスメントマーカーと相関が有ることが明らかになった。今後、ATXとこれら病態、生理現象との関連をマウスを用いた実験を行うことにより明らかにできると考える。 また、ATXノックアウトマウスは胎生致死であるが、成体におけるATXの機能を明らかにすべく、tamoxifen誘導型のATXコンディショナルノックアウトマウスを作製し確立した。今後このマウスを用いて発達脳のミエリン形成におけるATXおよびLPAの機能を明らかにしたい。
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Research Products
(7 results)