2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミエリンにおける生理活性脂質リゾホスファチジン酸の機能解析
Project/Area Number |
06J11622
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥平 真一 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / オートタキシン / 特発性肺線維症 |
Research Abstract |
当該年度において私は、自ら確立したオートタキシン(ATX)阻害抗体をもちいて新たな表現系を模索し。解析することを目的とした。その結果、ATXが難病である特発性肺線維症に関与することを見いだした。肺線維症は肺間質における炎症とそれに伴う線維化を主徴とする疾患である。そのうち特発性肺線維症は原因不明の疾患であり、これまでに有効な治療法や、病態進行を反映する血中マーカーは確立されていない。ATXは生理活性脂質であるリゾホスファチジン酸(LPA)を産生するリゾホスホリパーゼDである。LPAは種々の細胞において炎症性サイトカインの発現を亢進させること、線維芽細胞の運動性を亢進させることから、炎症や組織修復に関わることが示唆されてきたが、LPAが生体内においてそれらの役割を持つかはこれまで明らかになっていない。本研究において私はLPA産生酵素ATXが肺線維症の進行に重要な役割を持つことを示した。特発性肺線維症患者における血清中や肺胞洗浄液中のATXレベルは健常人に比べて有意に高かった。そこで本疾患におけるATXの機能を明らかにする目的でマウス血中ATXを除去する活性を有するモノクローナル抗体を確立し、ブレオマイシン誘導型肺線維症モデルにおいて投与したところ、肺の線維化は顕著に抑制された。さらに病態進行過程である肺胞中への炎症細胞の浸潤や肺における血管透過性の亢進は、抗ATX抗体投与により顕著に抑制された。最近LPA受容体の一つであるLPA1が本疾患の病態進行に大き<関わることが示されており、本研究によりATX-LPAが肺線維化に重要な役割をもつことが強<示唆された。
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Research Products
(4 results)