2007 Fiscal Year Annual Research Report
MUC1 DNAワクチンによる大腸癌の治療・転移の抑制
Project/Area Number |
06J11625
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉浦 大祐 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA ワクチン / 大腸癌 / MUC1 / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
腫瘍抗原であるMUC1に対して免疫寛容を示すMUC1.Tgマウスを用いて、MUC1をターゲットとした効果的な癌の免疫治療法の開発を目指し、MUC1 DNAワクチンの投与、または樹状細胞との共投与を試みたが、MUC1に対する抗腫瘍効果を誘導することはできなかった。そこで、骨髄誘導樹状細胞にMUC1遺伝子を導入したものを免疫源とすることにした。樹状細胞のような初代培養細胞は、Lipofectionのような一般的な方法では遺伝子の導入効率が非常に低いことが知られているため、本研究ではレンチウイルスを用いてMUC1遺伝子を樹状細胞に導入することを試みた。レンチウイルスの作製に必要なvectorにMUC1遺伝子を挿入し、MUC1遺伝子を導入することのできるレンチウイルスを293T細胞を用いて作製した。作製したレンチウイルスは293T細胞に感染し、MUC1を発現させることができることを確認している。このレンチウイルスを樹状細胞に感染させたところ、ウイルス量を増やしても全体の10%程度しか樹状細胞には感染できなかったので、今後感染の効率を上昇させられる方法を検討する予定である。ある程度の遺伝子導入効率が得られれば、MUC1.Tgマウスに免疫を行い、MUC1発現大腸癌細胞を移植して、その効果を検討する予定である。この方法でMUC1特異的な免疫応答が誘導、さらには癌の治療ができれば、ヒトへの応用も比較的容易であるため、非常に有用であると考えられる。また、MUC1.Tgマウスにおける、MUC1特異的な免疫寛容のメカニズムの解明に関して、制御性T細胞の関与についても検討しているが、実験系の確立に時間を要しているため、今後明らかにする予定である。
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